IIJ主催イベント『IIJmio meeting #9』:

「新サービスの提供予定」「クーポン3000GBプレゼントの狙い」など、参加者との一問一答を詳報

2015年10月、インターネットイニシアティブ(IIJ)が「IIJmio meeting #9」を大阪と東京で開催した。

本稿では、東京会場における、イベント参加者およびtwitterから寄せられた質問に対する質疑応答の模様をお伝えする。なお、回答はいずれも登壇したIIJスタッフが行っている。

プラン・サービス内容について
――ミニマムスタートプラン、ライトスタートプランでも複数SIMによるシェアがしたい。

要望が多いのは承知しているが、今はファミリーシェアプランのみで対応にしている。今後についても明確な予定はない。

――NTTドコモのVoLTE対応端末から「みおふぉんダイヤル」で発信した通話は、VoLTEの高品質通話に対応していますか。

対応していない。技術的にも難しいため、現時点では提供予定もない。

――1GB=1024MBだと思いますが、IIJのクーポンは1GB=1000MB計算になっていると思います。差の解消をはかる予定はありますか。

IIJでは、クーポンを10MB単位でSIMに配る仕組みで、管理単位が10MBとなっている。そのため、1GBを1000MBとしている。

1GB=1024MBとするには、システムの大改修が必要となるので、対応は難しい。

――管理単位が10MBであれば、1GBを1000MBではなく1020MBにはできるのではないですか。

改修の予定はない。

――Windows Phoneが出始めましたが、みおぽんアプリのWindowsストア版をリリースする予定はありますか。

市場でシェアが増えていくなかで対応を考えていきたい。

なお、公式アプリではないが、Windowsストアでもサードパーティー製のものが1つあったのは確認しているので、そういったものを活用していただくのもひとつの手だと思う。

――ネット上でのアラシなどへ、どのような対策をしていますか。

我々は通信を検閲しているわけではないので、通信がアラシなのかどうなのか自らは感知できない。掲示板管理者などから迷惑行為についてしかるべき報告をいただいた場合に、その都度対応している。

電気通信事業者として、通信の秘密を守りつつ、迷惑行為に対してはしっかりと対応をしている。

個人向けサービスとしてISPをIIJ4U時代からやっているので、そのあたりの対策についてはノウハウを蓄積している。

――ネットワーク負荷状況を公開する予定はありますか。

IIJmio meetingのように我々がグラフの読み方を説明できる場合は、以前より折に触れ公開している。ただ、リアルタイムでネット上に公開することは、そのグラフがどう使われるか分からないので考えていない。

――MVNOが広がり始めた当初はクーポン等の面白いシステムで存在感や他社との違いを出していましたが、クーポンが当たり前になっている今、新しいアピールポイントなど考えておられる事があれば教えて下さい。

他社が真似ている感じがあり、非常に苦しい。出せればいいなと思う反面、新規さだけを出すフェーズから変わってきているのかなぁと思っている。色々なものを天秤にかける時期にきているのではないか。

――IIJがMVNEとなっているMVNOがありますが、通信環境面でIIJmioとの違いはあり得ますか。

IIJはMVNEとして設備を貸し出しているが、厳密に言えば違いはある。MVNOから品質制御などの「味付け」依頼があれば反映させるので、結果的に違ってくる。

――チラシやリーフレットなどに記載されているSIMのイラストは、端子形状が大日本印刷のものが採用されています。なぜですか。

たまたまデザイナーに渡したものが大日本印刷のものだったのではないでしょうか。特に意味はありません。

――IIJmioではメールサービスの無料付与は検討されているのでしょうか。

現状オプションで提供しているメールサービスは価格が高いかなという印象を持っている。予定は口に出せないものはいっぱいあるが、お話できることは今はない。

――「おうちでナンバーポータビリティ」を使用して申し込んだ際に、SIMが自宅に届いてから予約期限を過ぎる前に転出元キャリアで予約番号のキャンセルを実施した場合はどうなりますか。

(イレギュラーな事象のため)IIJのサポートセンターから電話がかかると思います。

――「おうちでナンバーポータビリティ」で開通手続きを行うために電話をかける開通センターの受付時間は。

受付時間は9時から19時となっている。これは、MNPの手続きを21時までに終わらせなければならない決まりがあり、確実に21時までに終わらせられるよう設定している。夜間も手続きを行いたい気持ちはあるが、弊社だけではどうにもならない。

――通話かけ放題や無料通話付与など、何らかの通話定額を導入する計画はありますか。個人的には家族間無料通話を導入して欲しいです。

家族間通話無料はMVNOの構造ではかなり難しい。通話定額プランは前向きに検討していきたいと思う。

――KDDI網を使った個人向けMVNOの提供計画は。

提供に向けて高いハードルがあるわけではないが、以前から進展はない。

SIMロック解除があたりまえになれば、マルチキャリアでSIMを提供することの意味もなくなってしまうのではないか。選んでもらうための意義が見いだせれば、やらないというわけではない。

――SIMカードのバージョン変更手数料、具体的には赤色のSIMからピンク色のSIMに(バージョン4から5へ)変更する場合はいくらですか。

バージョン変更は受け付けていない。IIJ側では、どちらのバージョンが出るかはふたをあけてみるまでわからない。

NTTドコモでは、おさいふケータイでバージョン5でないと使えない機能があるので交換を受け付けていると認識している。MVNOの場合、バージョンによって機能面で差がないので(受け付けていない)。

――IPv6では端末に直接アクセスできるようになりますが、DoS/DDoS攻撃でクーポンを消費された場合の対応は。

通信が攻撃を受けたものかどうかをIIJが判断するのは難しい。例えばいきなり100GBの通信があれば攻撃かな、といった判断になる。今のところそのようなケースはないが、個別問合せでの対応になると思う。

アクセスがあったときにリバースで逆襲されることもあるが、セキュリティチームと対策をしていきたい。

――IIJがMVNEとなっているMVNOからのMNPはいつできるようになりますか。

提供の検討を進めている。時期はお伝えできないが、実装しようとしている。

――高速通信のクーポンをオンにすると、オフよりも遅い場合があります。それに対する補償はありませんか。

我々が観測しているなかで、オン時よりオフ時の方が高速になることはないと思う。オン時で200kbps以下しか速度が出ない場合、オフにしたらさらに遅くなる実装にしている。

――ユーザーのデータ利用状況はどうなっていますか。

1人あたりのデータ量は確実に増えている。利用者の増加ペースよりもデータ量の方が伸びている。

具体的な状況については企業秘密に当たるのでこの場では答えられない。

――国内メーカーのSIMフリー端末を扱わない理由はなぜですか。

条件面で海外メーカーの端末が中心となっているが、条件が揃えば国内のものも扱っていきたい。

――ウェブ経由でクーポンを購入する際の操作性が良くない。みおぽん(IIJmioクーポンスイッチ)でクーポンを購入できないのか。

アプリの中でお金を払ってもらう場合、AppleやGoogleの決済を使わなければならないが、その際の手数料等の条件から実現していない。

――付与された電話番号から、データ通信専用SIMなのか音声通話付きSIMなのか判別できますか。

判別できない。

――データ通信SIMから音声通話付きSIMへ移行する際、同一の電話番号で移行したい。

NTTドコモから提供されているプロビジョニング端末にそういった機能がないのでできない。システムが改修されれば実現の可能性はあるが。

――「Japan Travel SIM」の価格が高いように感じる。

新たに投入した1GB版の実勢価格は2500円ぐらいになっている。

物価水準も異なるため、海外で提供されているのと同レベルのものを国内MVNOが展開するのは難しい。また、他社より安く出すことをゴールにしているわけではないところもご理解いただきたい。

――他社も含めてだが、容量の追加購入に割高感があるのでどうにかならないか。

バンドルクーポンは使い切らない方がいることを見越した価格になっている。一方、追加購入分はほとんどの人が容量を使いきる前提で値付けをしている。追加購入の際の料金が正価という認識を持って頂けるとありがたい。

ファミリーシェアプランについて
――ファミリーシェアで10GB以上のバンドルクーポンを付与する計画はありますか。

要望は受けているが、特に予定はない。クーポンカードをローソンなどで販売しているので、それを購入して追加していただくのが当面の解決方法だと思う。要望があった旨はしっかり記録したい。

――ファミリーシェアプランで4枚以上のSIMを使いたい。

要望は非常に多い。だが、初心者の方にとっては、申込時に枚数を選ぶのも大変だとも思っている。

――ファミリーシェアへ複数回線の乗り換えを行う場合、なぜ名義を同一にしなければならないのですか。

IIJ側のシステムが複数名義に対応していないのが原因。誰がに嫌がらせされたり、ハードルがあったりというわけではない。

異なる名義でもファミリーシェアで契約できるよう考えているが実装の目途がたっていない。

――ファミリープランを1人で使っているが、他の人に説明すると「ひとりなのにファミリー?」と言われるので「欲張りプラン」など1人でも使いやすい名称にして欲しい。

事情は理解しました。ただ、いろんなものを書き換えるので勘弁して欲しい。

サポートについて
――端末にカスタムROMを入れていたり、OSを入れ替えているような場合、サポートに電話しても適切な回答が得られますか。

カスタムROMに書き換えた時点でIIJとして回答できなくなる。おそらくメーカー保証もなくなるのではないか。

端末に関するサポートは端末メーカーの範疇なので、カスタムROMを入れる・入れないにかかわらず端末に関しては完全に責任を持ってサポートできるわけではない。

一切お答えしないということではないが、カスタムROMを入れた端末の場合「ごめんなさい」の範囲が若干広くなる。

――サポートコスト削減のために(ユーザー間で疑問・質問を解決する)ナレッジコミュニティを使ったサポートサイトの提供は考えていますか。

社内で何度か議論に上がった。だが、回答に保証ができないし、逆に正しい回答をIIJが投稿しようとすると運用負担が高いので、採用はしていない。

キャンペーンについて
――クーポン3000GBプレゼントキャンペーンを実施されていましたが、当選した方のみおぽんアプリ上ではどのように情報が表示されるのですか。

我々もキャンペーンを行うにあたり、心配だったので検証してみました。こんな感じです。

――クーポン3000GBプレゼントキャンペーンを行っていましたが、3ヶ月で使い切るのはだいぶ厳しいと思います。クーポンはどういう風に使ってもらうことを想定したものなのでしょうか。

(ネタとして)笑ってもらうことを狙っている。

――(友達5名以上がIIJmioに契約するともらえる)IIJmio認定バッチを持っている人はいますか。

数件発送しているのは事実。IIJの社員ではいないのではないか。

MVNO市場について
――首相発言を受けて総務省がキャリアの携帯料金見直しを開始しましたが、IIJとして危機感は抱いていますか。

危機感をいだくのは我々ではなくキャリアの方ではないでしょうか。

ただ、一連の流れの中でMVNOが注目されている点は感じている。これまでのビジネスが評価されていることを誇りに思っている。

総務省の有識者会議の場でヒアリングが行われるが、IIJも意見を述べていきたい。

――auのVoLTE対応SIMの提供に関してはどう思うか。(編集部注:auはVoLTE対応SIMでは自社向けとMVNO向けを別立てとしており、MVNO向けSIMをauのVoLTE対応端末で利用するにはSIMロック解除が必須となった)

技術的に必要な措置であれば、それはやむを得ないことであり、しょうがないと思う。そうではなくて、差別的な扱いであれば、業界を挙げてMVNOとして意見を言っていきたい。現段階では情報がないので分からない。

IIJ主催イベント『IIJmio meeting』取材記事