携帯基地局の今(3):

キャリア6社の周波数帯運用状況と2014年以降の追加割当状況を整理

s20140414.jpgNTTドコモは4月1日から、東名阪(関東・東海・関西)地域において周波数1.5GHz帯を活用した受信時最大112.5MbpsのLTE「Xi」サービスを開始したと明らかにした。東名阪では、周波数1.7GHz帯による150Mbpsサービスが既に展開されているが、4月から1.5GHz帯も加わったことで容量拡大がはかられた。

サービス開始がこの時期になったのは、1.5GHz帯の一部が今まで使えない状態にあったことに起因する。1.5GHz帯の割当自体は以前からNTTドコモに対して行われていたものの、一部はデジタルMCA無線が使用していたため使えない状態が続いていた。そのため、地方では15MHz幅×2でのサービス展開だったが、東名阪では5MHz幅×2に制限されていた。

3月末をもってデジタルMCA無線の移行が終わったことを受け、東名阪でも15MHz幅×2でのサービス展開が可能となり、今回の112.5Mbpsでの提供につながった。

このように、キャリア各社の高速化には、割り当てられている周波数帯と、それが実際に利用可能かどうかも大きく影響している。

そこで、各社の周波数帯の状況について、弊社の調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2014年版」をもとに、最新情報も含めて見ていきたい。

利用可能周波数帯はソフトバンクグループよりも
NTTドコモとKDDIグループが有利

キャリア6社における周波数帯保有状況はソフトバンクグループが合計170MHz幅と最も多く、NTTドコモとKDDIグループも合計160MHz幅を保有している。しかし、実際に利用可能な周波数帯ではNTTドコモとKDDIグループが合計140MHz幅であるのに対し、ソフトバンクグループは合計120MHz幅と差が出ている。その内訳として、ソフトバンクグループは700MHz帯10MHz幅×2(20MHz幅)、900MHz帯10MHz幅×2(20MHz幅)、2.5GHz帯10MHz幅の合計50MHz幅が現在は利用できない。

そうした中、ソフトバンクモバイルが2014年春から残りの900MHz帯10MHz幅×2にLTEを導入する計画になっている。都市部でのネットワーク容量を拡大し、さらなる通信品質の改善を目指す。2013年12月末までの900MHz帯における終了促進措置の進捗状況としては、協議開始前・協議中がMCA端末局0.9%、MCA制御局0.0%、RFID免許局・登録局1.3%、RFID免許不要局68.3%になった。

免許を必要とするMCA/RFID局への対応はほぼ完了しているが、RFID免許不要局に関しては不測の事態に備えつつの対応となりそうだ。なお、2014年3月1日時点における総務省の「無線局情報検索 無線局統計情報」では、ソフトバンクモバイルの900MHz帯LTE基地局申請に動きはみられない。

900MHz帯以外の動向としては、NTTドコモやKDDI(au)、イー・アクセス(イー・モバイル)にそれぞれ700MHz帯10MHz幅×2が割り当てられている。さらにイー・アクセス(イー・モバイル)は1.7GHz帯5MHz幅×2の追加割当が見込まれる。

そして、2014年中には3.4~3.6GHz帯における最大200MHz幅の割り当てが実施される見込みになっている。200MHz幅の一部は現在もラジオ局が利用しているため、実際に付与できるのは約120MHz幅となる。総務省では今回の200MHz幅を含め、2020年までに3G~5GHz帯のうち最大1,300MHz幅を携帯電話向けに開放する計画とされる。

図:キャリア6社の現状の周波数帯運用状況と将来
20140414.jpg

本記事の詳細は「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2014年版」をあわせてご参照ください。
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