政治力学によるパワーゲームが繰り広げられるケータイ市場

 ある人は『ゴジラ』、そしてその隣は『ガメラ』。政治力学が複雑に交差し、ビジネスまで落ちてこない。ただ、ただ周辺にいる関係者は、傍観するしかない。それが、総務省で検討されている市場オープン化と2.5GHz帯の周波数割当を巡る状況ではないだろうか。

 某企業は、周波数を申請する頃までは市場をオープン化し、既存の携帯キャリアとは異なるビジネスモデルを目指しますといっておきながら、様々な方法で周波数を獲得すると、手のひらを返したかのように既存キャリアと同質化し垂直統合化へとひた走る。

 携帯キャリアでは唯一、ボーダフォンが市場オープン化を宣言し、一時周辺は盛り上がったものの、それも自らのサービスが不調だったからという但し書きがついてしまう。携帯キャリアには、本質的に自らの手で顧客を囲い込むというDNAが備わっている生物なのだろうと思う。

 しかし、この国の政府のスタンスもよくない。何故に公正な競争を担保するのに必要な規制をするのにも慎重になる一方で、しかしコントロールするかのような振る舞いを取るのか。態度が中途半端すぎる。ある関係者は、「国は舐められている」という表現を使い、辛らつに批判する。当然だが、電波は国民共有の資産だ。単純に特定の企業だけに許された特権ではないというところから、全て民間で自由にやらせてくれという話は暴論以外の何者でもないと思うのだが・・・・。

 携帯キャリアの競争力の源泉である周波数の獲得競争は、まさに政治力学によるパワーゲームの場。早く議論が落ち着いて欲しいというのが、関係者共通の想いだろう。その意味で今回、日本通信が、ドコモとの相互接続で合意に至らず裁定を求めた件について、ドコモに回線の貸出料金を公表して通信網を開放するよう求めたが、これが今後市場オープン化の突破口となるのか注視していく必要がある。