急成長を遂げるSNSの断片'考'

 有名タレントを起用し、洪水のようにTVCMをタレ流し、新規会員を集めているのが、モバゲーやグリーといったSNS(ソーシャルネットワークサービス)だ。

 いずれも2,000万以上の会員を抱え、今やiモードなど携帯会社と肩を並べるプラットフォーム会社である。一時期、テレビで「無料です」のCMを流していたものの、実は無料は入り口だけで、ゲームで使うさまざまなアイテムに課金していくことで、金の成る木として急成長してきた。

 DeNAの売上高は前年同期比3.2倍の271億円、対するグリーは同82%増の124億円という急成長を遂げている。特筆すべきはそれだけではない。営業利益率はともに約50%という高収益性でもあるという点だ。

 昨年には、グリーとの取引を停止するようゲームソフト開発会社に圧力をかけたとの疑いで、「モバゲータウン」を運営するDeNAに公正取引委員会が立ち入り検査が入った。

 果たして、本当にそうした圧力があったのか真相は分からないが、SNS向けのゲームは「ソーシャルゲーム」と呼ばれ、国内では約2年前からDeNAやグリーなどSNS大手が参入し、2010年よりそれぞれ外部のゲーム開発会社のゲームを提供し始めたことで、ゲーム会社の囲い込みが激しくなったとされている。

 iモードなど携帯会社のプラットフォームと異なり、SNS向けのゲーム(SAP:Social Application Provider)ではDeNA、グリー自らもゲームを供給しながら、外部からもゲームを調達するという点があらゆる意味で業界の特異性を表しているようにも思う。

 国内で得た高成長と高収益を原資に、これらの会社は海外企業のM&Aなどで更なる成長を目指すとして鼻息は荒い。しかし、こうした企業が成長することが、日本経済にどれくらい寄与するのかなど、社会性という観点からの'在り方'について、議論がもっと起きてもいいような気がするのは私だけだろうか。