Column:

周波数オークション消滅?の説明責任

 注目を集めていた周波数オークションが、突然立ち消えとなりそうだ。

 政府は、2010年12月に開催されたICTタスクフォースの政策決定プラットフォームで、主に700M/900MHz帯の再編にあたり、周波数オークションの考え方を取り入れた制度を創設するため、必要な関連法案の整備を行っていくとしていた基本方針を打ち出していた。

 しかし、2月8日に閣議決定される予定の電波法改正案には、そうしたオークションに対する考え方は削除されているのだという。

 周波数の割り当てについては、わが国は実質、総務省が割当先を決める方法となっているが、これについて以前より決定プロセスが「不透明」と批判があることに加え、財政難に苦しむ政府としても、オークションによって収入が増えるというメリットがあり、民主党政権下で検討されてきた。

 もっとも、オークション導入には落札価格の上昇により、それが結果的にサービス価格の高騰につながる可能性もある。実際、2000年頃に欧米で行われた3Gの周波数オークションでは、落札総額が米国では約1兆9,000億円、英国は約4兆円、ドイツは約5兆円にまで上昇し、結果、巨額の落札価格に耐え切れず周波数を返上したり、資金枯渇で3Gサービスを提供できないケースが続出した。

 そのため、政府としてもオークション導入の方法について、様々な角度から検討しているとされてきた。

 閣議決定までされてきた周波数オークションが消えた理由は何なのか?

 一説には、利権(特別会計)と化している電波利用料(2009年度で約640億円)が無くなることを恐れた総務省の官僚と、オークション導入に一致団結して反対してきた携帯キャリアの抵抗が功を奏したとも言われている。

 他にも、検討されてきた700/900MHz帯では時間的な制限から断念するが、4Gからは予定通りオークションが導入されるといった意見もあるようだ。

 とりあえず総務省や政府は何事もなかったかのように消すのではなく、オークション導入に関する説明責任を果たすべきではないだろうか。