流通へも押し寄せるスマタブ時代の変化の波

 先日、ネット上でKDDIが2013年末までに「家電量販店で携帯電話の販売に携わる契約社員を約2500人雇用する方針を固めた」というニュースが流れた。

 スマートフォンの普及に伴い、使い方や料金体系が複雑になってきおり、消費者にわかりやすく説明・提案できる人材を育成していくには、派遣ではなく、契約社員や更には正社員化が望ましいとの判断によるものだとしている。

 当然だが、現場で働くスタッフにとっては、派遣よりは契約や正社員の方が待遇も安定し、好ましいことは間違いない。

 もとより、携帯電話の販売現場は「3K」の1つと言われ続け、その状況は改善するどころか、スマートフォンの登場で面談時間が長くなったり、顧客のクレームも多くなったりと悪化の一途を辿っている。

 携帯電話の販売チャネルは大きく、家電量販店と携帯ショップの2つに分類されるが、状況はショップでも全く同じだ。

 携帯ショップの運営は、基本的には携帯キャリアではなく、代理店が行っている。

 代理店でも事情は同じで、その販売の大変さから人材の募集については、慢性的な課題となっている。
 更には近年のお金を直接顧客に落とし、その分代理店向けを引き締める(手数料引き下げ)といった携帯キャリアの姿勢に代理店からは批判的な意見もでてきており、これまでのような蜜月時代が端境期を迎えている。

 もっとも、携帯キャリアとしては激化する競争状況のなかで、スマタブ時代の最適なカタチ(エコシステム)を模索している段階であり、今回のKDDIの契約社員雇用化の他にも、ソフトバンクモバイルが来年から導入する「優良オーナー制度など、まさに代理店との新たな距離感について走りながら考えているように映る。

 そして、複数の関係者によると、その変化ははじまったばかりのようだ。あるところでは、その関係を更に大きく変化させるようなことを検討している。

 変化の波は、流通へも大きな変革を迫っていくこととなりそうだ。