エディオンコミュニケーションズ:

東海地域は各キャリアの混戦、他の地域に比べシェアに差がない状態

携帯電話市場とひとくちに言っても、国内の地域ごとでその状況は大きく異なっている。都市と地方でスマートフォンの普及率に差が出ていることは周知の通りだろう。

そこで今回、東海地方の市場状況を探るべく、東海地方を中心にキャリアショップを展開するほか、全国のエディオングループ店舗の携帯電話コーナーの運営も手掛けるエディオンコミュニケーションズの取締役副社長 佐藤 篤氏と営業本部 営業戦略部 部長 堀 恭寿氏にお話を伺い、携帯電話市場の状況や、同社の事業展開などを語っていただいた。

その模様を前編・後編の2回に分けてお伝えする。

事業部から独立、専門会社を立ち上げ携帯電話販売に特化
――まずは御社の事業内容について教えてください。
佐藤氏:
エディオンコミュニケーションズは、通信事業者の一次代理店としてキャリアショップを展開するとともに、全国のエディオングループ店舗の携帯電話コーナーの運営を手掛けています。あわせて、企業向けに法人携帯販売と人材派遣も行っています。

もともと、1994年にエイデンの携帯電話コーナーを手掛けたのが事業のはじまりですが、当時はエイデンの事業部のひとつでした。キャリアショップの運営も事業部時代からスタートさせています。

2000年、通信事業の強化を目的にエイデンの100%出資により事業部から独立し、株式会社エイデンコミュニケーションズを設立しました。独立したことで、携帯電話販売に関して従来以上に注力できる体制が整いました。

一例を挙げると、エイデン時代からコマーシャルに力を入れており、東海地方では「ケータイ買うならエイデン」というTVCMを放映していました。家電量販店が、他の家電には触れず携帯電話の販売に特化したTVCMを放映するのは珍しいことだと思います。
余談ですが、CMタレントには錦野旦さんに継続的に御出演いただきました。

TVCMに限らず、店舗の什器やカウンターなどの設備にも手厚く投資し、充実させています。

2010年10月にエディオンの100%子会社化にともない社名を「エディオンコミュニケーションズ」に変更し、現在に至っています。

――キャリアショップは、どの通信会社のものを展開されていますか。
佐藤氏:
ドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップ、イーモバイルショップ、ウィルコムプラザと、すべてのキャリアショップを運営しています。いずれも、おもに東海地域を中心に出店しています。
東海地域は各キャリアの混戦状態
――東海地域での携帯電話市場の現状を教えてください。
堀氏:
旧東海デジタルホン時代からソフトバンクモバイルの利用者が多い傾向にあり、他の地域に比べて特定の一社が独走するような市場環境にはありません。

ある会社の勢いがよくなったかと思えば、別の会社が逆転する、などということがよくあります。

――主要3社の契約数を比較すると、確かに全国シェアに比べて東海地区のシェアが拮抗していますね。

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佐藤氏:
そのような市場環境もあって、現在弊社はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの4社と一次代理店契約を結んでいます。お客様のニーズを踏まえて提案できる体制が整っていると自負しています。
タブレットは"一人一台"普及もあり得る
――携帯電話市場ではフィーチャーフォンからスマートフォン・タブレットへのシフトが進んでいると思いますが、市場をどう捉えていますか。
佐藤氏:
スマートフォンもそうですが、今はタブレットに対して非常に期待しています。

先日乗った飛行機の中で見た光景が非常に印象的だったのですが、同乗したシニアのグループが、タブレットを使って旅行プランを検討したり、撮影した写真を見せ合ったりしていたんですね。

その使いこなしっぷりに驚いたのですが、考えてみれば画面を指で触れば操作できるタブレットは直感的で、マウスやキーボードの使い方を覚える必要があるパソコンとは違って抵抗感なく受け入れられているんですよね。

銀行のATMや駅の自動券売機、カーナビなど、ふだんの生活で画面を触って操作する機会はよくありますし、誰にとってもなじみのある方法ですから、その延長線上にタブレットがあっても何の不思議もない。

インターネットのことがよく分からなくても画面をタッチすれば操作できる、言い換えれば、タブレットはインターネットを感じさせない役割を担っているのではないでしょうか。

パソコンは一人一台のレベルまで普及することはなかったですが、タブレットは今後一人一台の普及率に達するポテンシャルを秘めていると思います。パソコンも携帯電話もスマートフォンも販売している我々から見て、タブレットは極めて期待度の高い商品です。

それだけに、タブレットを単なるパソコンの置き換えと捉えて「ノートパソコンより軽くてバッテリーが持ちますよ」と売り込むのではなく、例えば旅行好きな方には「タブレット経由でホテルの宿泊申込をすれば、旅行代理店の半額で済みますよ」と具体的なメリットを訴求した方が販売に結びつくのではないかと思っています。提案型の営業スタイルは今後の検討課題です。

――では、いちばん注目されているタブレットの現在の動向を教えてください。
堀氏:
個人市場と法人市場では動きが異なっていますね。

法人市場はシンプルで、導入実績が豊富でセキュリティの観点からもiPadが非常に強いです。

一方個人市場の場合、iPadはセルラーモデルよりもWi-Fiモデルの方が売れています。

また、セルラーモデルで比べるとiPadよりもAndroidタブレットの伸び率が高くなっています。NTTドコモのAndroidタブレットを購入されるお客様は、有料コンテンツの加入率が高いのも特徴的です。NTTドコモが提案している利用シーンや提供サービスがお客様に響いているのではないでしょうか。

後編に続く)