スマホステーション:

"どのくらいデータが復旧できるか作業しないと分からない"不確実性を取り除いたデータ復旧サービス「スマホデータレスキュー」

shop_title.JPGNTTドコモが取り扱いを開始したことでさらなる普及が見込まれる「iPhone」シリーズ。普及にともない修理の需要も拡大している。しかし、実際に修理を受け付けるApple Storeやアップル認定ショップは店舗数が限られているのが実情だ。

そんなiPhone利用者の不満を解消すべく、端末の故障に即応できる修理事業者に注目が集まっている。

そこで今回、池袋や吉祥寺などに修理ショップ「スマホステーション」を構えるスマホステーション株式会社の代表取締役 猿谷 吉行氏にお話を伺い、iPhone修理ビジネスの現状や同社の事業展開などを語っていただいた。

その模様を、前編に引き続きお伝えする。

スマートフォン修理は「待ち」のビジネス
――スマホステーションの店舗展開はいつごろ開始されたのですか。
猿谷氏:
2011年11月、池袋への出店が最初となります。ちょうどその頃、池袋駅東口の駅ナカに出店できる機会が巡ってきまして、そんな恵まれた場所への出店チャンスなど滅多にないだろうと思い出店を決めました。
――駅ナカは人通りが多い好立地ですから、立ち上げは順調だったのではないですか。
猿谷氏:
スマートフォンを修理する店がここにありますよ、ということを駅の利用者に認知していただくまでにはやはりそれなりに時間がかかりました。

修理ビジネスは、利用している機器に不具合が出て初めて需要が生まれるものなので、基本的に「待ち」のビジネスになります。商品を販売する訳ではないので、こちらから需要を喚起することが難しいんですね。

現在は修理の店舗が駅ナカにあるということが周知され、おかげさまでコンスタントに修理の依頼をいただくようになりました。

――池袋への出店からもうすぐ2年が経ちますが、現在の店舗数は何店舗ですか。
猿谷氏:
現在は全10店舗体制となっています。開店して1年も経たないうちに、フランチャイズ展開を希望する企業からお声がけをいただいたので、直営店が池袋と吉祥寺の2店舗、FC店が8店舗という構成です。


【スマホステーション吉祥寺店】
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池袋に最初の店舗を構える段階で、自社で多店舗展開できるよう修理方法やマニュアル類を整備し仕組みを整えていましたので、フランチャイズのお話をいただいたあとは構築した仕組みを渡してスムーズにフランチャイズ展開していただけました。

修理業者の中には、黎明期から修理事業を展開している会社から修理方法のレクチャーを受けて開業するところもあると聞きます。ただ、教える側も教わる側もマニュアルを用意していないので、技術者を育てたり、多店舗展開を行うのに苦労をしていると伺っています。

弊社はパソコン修理の技術を活用し、すべての修理方法をマニュアル化しているので、スタッフの教育や出店などに関して、アドバンテージがあるのではないかと自負しております。

"どのぐらいデータが復旧できるか分からない"不確実性を
取り除いた方式でデータ復旧サービスを展開
――データ復旧を行う「スマホデータレスキュー」は、どのようなサービスですか。
猿谷氏:
スマホの故障や損傷など、何らかのアクシデントによってスマホ内のデータが消失してしまった場合に復旧作業を行うサービスで、2012年9月よりスマートフォン専門のデータ復旧事業を開始しました。

iPhoneにもAndroidにも対応し、アドレス帳、通話・メール履歴、写真、音楽など幅広いデータが復旧可能です。また、お客様からの要望を踏まえ、LINEやパズドラのデータ復旧も手掛けています。せっかく何時間もかけてレベルアップしたパズドラのデータを復活させたいというのはかなり切実な願いのようです。

――正直なところ、どのくらいデータは復旧できるものなのでしょうか。
猿谷氏:
端末の状況によりますので、やはり一概には申し上げられないですね。データ復旧においては、どうしてもやってみないと分からない面がつきまとってしまいます。

ただし、それではお客様も依頼しにくいですから、弊社では復旧できるデータを事前の無料診断にて連絡する方式でサービスを運営しています。

具体的には、まずデータ復旧させたいスマホをお預かりし、無料診断と並行して復旧作業も進めます。作業終了後、お客様にはどのデータが何件復旧できたのかメールでお伝えします。お客様は、復旧の件数や内容を踏まえ、データ復旧サービスを依頼するかどうか判断していただきます。もし納得いただけなかった場合は、この時点でキャンセルすることも可能です。キャンセルされた場合、診断は無料ですので費用の請求はありません。

正式にお申し込みいただいた場合、復旧したデータはmicro SDカードに保存して返却しています。

――復旧されるデータがあらかじめ分かるのは、利用者にとってありがたいですね。
猿谷氏:
お客様からすると、どれだけ復旧できるのか分からない状態ではサービスが利用しにくいのは当然だと思います。敷居はできるだけ低くしたいと考えて明瞭なモデルとしました。

明瞭化とあわせて、料金プランのパッケージ化も行いました。

実は、データ復旧サービスの販路を拡大するため代理店経由での販売を進めようとした際、料金プランがネックになってしまったんですね。従来は、データ復旧するスマートフォンの状態を確認して、その都度個別に見積もりを出していたのですが、それでは事前に料金が分からず、販路を拡大できずにいました。代理店側からすると、料金プランが決まっていない商材は売りにくかったようです。

そこで、復旧作業一式をセットにしたプランを取りまとめました。作業内容を「復旧できるデータをすべて復旧する」単一方式とし、復旧までの期間が7日以内の通常プランが29,800円、3日以内に短縮できる特急プランが39,800円と事前に料金を提示することで、代理店にとっても扱いやすい商品へと改善しました。

法人向けに月額210円からのスマートフォン保守サポートサービスを開始
――法人向けには、新たなサポートメニューの提供も開始したと伺いました。
猿谷氏:
今年の夏頃から、定額制のスマートフォン保守サポートサービスを開始しました。

代理店の法人営業担当の方と話をした際に、顧客からのiPhone修理依頼への対応に関する悩みをよく耳にしました。

iPhoneの場合、キャリア側では修理ができないため、法人顧客から受け取った故障端末を営業担当の方がわざわざApple Storeに持って行って交換する、といったこともあるようです。また、端末交換後にはデータの載せ替えや設定なども行わなければならないようで、この部分で弊社としてお手伝いできることがあると感じて参入を決めました。

具体的には、1端末あたり月額210円で、スマホ・タブレットのトラブルに24時間体制で対応できるメニューを用意しました。紛失時にデータ消去や端末位置情報確認を行う紛失サポート、電話および遠隔操作ツールを用いた遠隔サポート、故障等での出張サポートを提供します。

実際の修理に関しては修理費・出張費の実費を別途請求することになりますが、紛失サポートと遠隔サポートは月額料金で行います。当初より代理店経由での拡販を考慮に入れていましたので、できるだけ料金体系を明確化させました。

――月額210円というのは非常に魅力的な価格設定ですね。
猿谷氏:
はっきり言って破格だと思います。実は、これとは別に月額数万円の基本料金をいただく法人向け保守サポートサービスを以前から提供しているのですが、リニューアルにあたり思い切った値付けにしました。

保守サポートがどのようなものなのか体験していただきたいという思いから、契約も1台から受け付けています。

自社で専用のコールセンターを設置するなどサポートの質には自信がありますので、まずは1台でも構わないのでとにかく試していただいて、納得いただいてから追加で契約いただければと考えています。

――最後になりましたが、今後の事業展開などについてお聞かせください。
猿谷氏:
スマホにおけるサービスインフラを提供する会社になっていきたいですね。現在はデータ復旧、修理に対応できる体制ですが、我々がお手伝いできる範囲をさらに広げられればと考えています。

現在、生活トラブル解決サービスを手掛けるジャパンベストレスキューシステム株式会社と提携をしており、同社の「スマホ救急車」で依頼を受けたスマートフォンの故障やデータ消失案件に対しては、弊社が修理や復旧作業を手掛けています。今後は他の企業との提携も推し進めたいですね。

また、スマートフォンのデータ復旧ビジネス、修理ビジネスに対する関心は、海外においても高まっています。我々は作業者向けマニュアルなど事業展開に必要な土台が揃っていますので、復旧・修理のノウハウの輸出も視野に事業展開を進めていきます。

――本日はお忙しいところありがとうございました。