携帯・スマホ中古端末ビジネスの今:

〔ウルトラエックス〕データ消去から不正改造検知まで、中古事業者のニーズに応じて様々な機能を提供

携帯電話・スマートフォンの中古端末ビジネスに取り組む事業者各社にインタビューを行う短期集中連載企画「携帯・スマホ中古端末ビジネスの今」。

株式会社ウルトラエックスは、性能検査をクリアした中古スマートフォンに対して「あんしんケータイ認定プログラム」の提供を2013年10月より開始した。そこで今回、同社の代表取締役 服部 達也氏にお話を伺い、その模様を前編・後編の2回に分けてお伝えする。

中古スマホの端末性能診断を中心にお話いただいた前編に続き、後編では、中古スマホのデータ消去などその他の機能や、中古スマホ市場の現状などを伺った。

「リセットすればスマホ内のデータは消える」と誤解している事業者も
――中古スマートフォンの買取では、端末が動くかどうかの診断とは別に、データ消去などの必要もありますが。
服部氏:
おっしゃるとおりです。弊社では、データ消去、データ移行などを行う「Mobile Pliers」も展開しています。

データ消去の方法も、診断ソフト「Mobile Quality」と同様のスキームとなっています。対象となるスマートフォンに専用アプリをインストールし、あとはアプリが消去を行います。アプリが残ったままにならないよう、消去作業の最後にはアプリ自体が自分自身を消去するようになっています。

以前はパソコンとスマートフォンをケーブルで接続し、オーバーフローといってメモリの全領域にデータを上書きする方式を採用していました。しかし、オーバーフロー式では処理時間がケーブルの転送速度に左右されてしまい、スマートフォンのメモリ大容量化にともなって処理時間が長くなってしまう問題がありました。

また、一度に大量の台数を処理しようとすれば、台数分のケーブルを準備する必要がありました。

現在は、ケーブルが必要となるのはアプリをスマートフォンにインストールする時のみなので、少ないケーブル数でも充分対応できるようになりました。

なお、「Mobile Pliers」は情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)のスマートフォンデータ消去ソフトウェアとして認証を受けており、第三者からも評価いただいています。

――診断やデータ消去はいずれも目に見えない部分のため、取り組み方は各事業者の判断に一任されている状況だと思います。
服部氏:
2012年4月にRITEAが「スマートフォンデータ消去取扱いのガイドライン」を策定し、データ消去の必要性について喚起がなされていますが、残念ながら重要性に気付いていないところもあるのが現実です。

スマートフォンにはリセットの機能が備わっていますが、実際のところそれだけでは完全にデータ消去ができておらず、やろうと思えばデータ復旧ができてしまいます。しかし、リセットをかければ表面上はデータが消えたように見えてしまうため、それで充分と誤解している事業者もいるのではないでしょうか。

リセットしてもデータ消去できないのは中古パソコンと共通です。HDDはフォーマットしただけではデータが完全には消えていないため、中古パソコンを販売する際には専用の消去ソフトを用いる必要があります。

そういった経緯から、中古パソコンの取扱事業者の場合、データ消去の重要性を理解している方が多いと思います。

――スマートフォンはパソコン並みの性能を持ちつつありますから、確かに共通点がありますね。
服部氏:
中古パソコンと中古スマートフォンは、データ消去の部分だけでなく市場構造についても似ているとみています。

中古パソコン市場も、市場の拡大期には多くの事業者が参入しましたが、データ消去など利用者が安心して売買できる環境作りに対しては各事業者間で対応に濃淡がありました。その後、環境整備をおろそかにした事業者は淘汰されてしまうことが多かったように思います。

中古スマートフォン市場も同様で、しっかりとした体制を整えていないところは今後淘汰される可能性があると思います。

中古スマホ向けソリューションの提供を通じて
「あんしん・安全」な中古スマホの普及を目指す
――最後に、今後の御社の取り組みについてお聞かせ下さい。
服部氏:
弊社では、中古スマートフォン向けのソリューションとして、端末の診断ソフトやデータ消去をはじめ、さまざまな検査ができるオプション機能を備えています。

例えばおさいふケータイ(ICカード)にデータが残っていないか検知する機能もあります。ICカードのデータはSIMカードが刺さった状態でないと消去できなかったり、キャリアショップで手続きをしないと消せない場合もあります。データが消去されていないと、中古端末の購入者が新たに利用できないトラブルに見舞われてしまうため、消去されていることが重要になってきます。

このほかにも脱獄(Jailbreak)していないか調べる不正改造検知なども備えています。いずれも、ソフトを導入いただいている事業者からの「このような機能はないの?」というの現場の声から生まれた機能ですから、中古スマートフォンの事業者にとって必要なものといえます。

今回の認定プログラムでは診断の部分にフォーカスしていますが、診断を足がかりにしてそれ以外の機能も活用していただき「あんしん・安全」な中古スマートフォン普及の一助になればと思います。

――本日はお忙しいところありがとうございました。