「中古端末+SIMのセット販売」モデル登場で更にヒートアップする格安SIM市場

s0422geo.jpg月額1000円以下で通信サービスが利用可能な「格安SIM」が注目を集めている。今後の普及をにらみ、異業種も巻き込むかたちで相次いで新たな商品が登場してきた。格安SIMを巡る動きを追った。

実店舗で広がる「端末とSIMのセット販売」
携帯ショップ並の手軽さで購入可能に

格安SIMの競争環境がこの1ヶ月で大きく変化している。キーワードは「実店舗における端末とのセット売り」だ。

4月に入り、イオンが日本通信のSIMと「nexus 4」を組み合わせた「イオンのスマートフォン」を全国8000台限定で販売、ビックカメラもBIC SIMとコヴィア・ネットワークス製スマホ「covia Flea Phone」を全国1000セット限定で販売開始した。

端末と格安SIMをパッケージ化する動きは、ISPを中心に以前から行われていた。しかしその多くは購入方法がネットからの注文に限定されており、店頭で現物を見ることは難しい。イオンやビックカメラはいずれも店頭で取り扱っているため、実物を確かめてから購入することができる。

セット販売のメリットはこれだけではない。

格安SIM事業の関係者によれば、購入者から「SIMカードを挿入しても使えない」という問い合わせがサポートセンターに多数寄せられているそうだ。格安SIMはキャリアのSIMと異なり、SIMカード挿入後に「APN設定」を行う必要があるのだが、この設定につまづく人が続出しているのが現状だという。

セット販売であれば初期設定を店舗側で代行することも可能となり、一般の携帯ショップで携帯・スマホを購入する際と同じように「購入後すぐに使える」状態を創出できる。携帯ショップ並の手軽さで格安SIMが利用できる環境が整いはじめた格好だ。

セット売りでSIMと組み合わせる端末の選択肢も豊富に

セット販売で重要となるのは、SIMに対してどの端末を組み合わせるかだ。

調達先はハードメーカーとなるが、端末価格が5万円を大きく超える最新機種と組み合わせてしまえば、格安SIMによる料金面のアドバンテージがなくなってしまう。

そのため、イオンのように型落ち品を用いるか、ビックカメラのように新興メーカー品を採用し、端末価格を低く抑えるのが一般的だ。ちなみに、両社ともセット端末はいずれもLTEには対応していない。

この点で新機軸を打ち出したのがDVDレンタルなどを手掛けるゲオだ。同社はソネットのMVNOをベースとしたSIMカード「Smart G-SIM」の販売を4月26日から全国約1000店舗で開始すると発表した。

「Smart G-SIM」

ゲオがセット端末として見込んでいるのが中古端末だ。同社では2011年から中古携帯電話事業に参入、現在ではほぼ全店で中古端末の買い取りを行っている。

中古端末市場は急拡大を続けている。端末の買取・下取りを行う店舗は全国に約1万3000店規模に広がったことで買取台数が急増、それに伴い販売台数も増加傾向にある。

2013年度に消費者が購入した中古携帯・スマホの台数は173万台と推定され、2016年度には422万台まで拡大するとみられる(「携帯・スマートフォンの中古端末市場動向」より)。

中古端末であれば、新品よりも価格を抑えつつ、LTEなど高機能が備わった製品を提供できる。同社では「ゲオショップでSIMカードを安心してご購入いただけるよう、店頭でのお客様サポートを強化する」方針で、発売後の消費者の反応が注目される。

携帯・スマートフォンの中古端末市場動向

ブックオフ、ゲオや家電量販店、専業事業者など、中古携帯・スマホ取扱いの主要事業者の最新動向、実際に中古端末の購入・売却経験のある消費者へのアンケート調査が1冊に。事業者、参入検討企業必携の調査レポート。