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同質化競争が繰り広げられる携帯会社のポジショニングマップ

国内の携帯会社は4社あるが、契約者数の規模から見れば実質大手3社の戦いとなっている。しかし、この3社を比較する場合、「端末」ではiPhone、「インフラ」ではLTE、「料金」では定額制というように同質化競争が進んでいることから、その違いを見つけることが難しくなってきている。

もともと通信サービスは、他の産業と比較して差別化が難しいとされてきたものの、ここまで違いが見えにくいというのは、逆にこれまでのモバイル産業のパラダイムが最終局面を迎えているということなのかも知れない。

そこで今回は、同質化競争が進むモバイル産業において、携帯会社の差別化という観点から、競争の軸となっているポジショニングマップを作成し、その違いを見て行きたい。

携帯会社をマッピングするにあたり、注目したのが「純増数」と「音声料金」である。「純増数」は『新規回線数-解約数』という公式から導きだされるが、そのうちどちらに軸足を置いているかによって違いが見られる。

NTTドコモとKDDIは解約防止に注力しており、解約率は0.5%程度を維持している。しかし、その取り組みは、NTTドコモはiPhone投入、新料金プランなどを推し進めることで流出を防止しているのに対して、KDDIは固定回線とのセットサービスであるスマートバリューや、au WALLETなど携帯以外で縛ることで実現している。

これに対して、ソフトバンクモバイル(SBM)は解約よりも新規回線を積極的に獲得することで純増を積み上げる路線を一貫して取り続けている。また最近話題のMVNOについては、基本的に新規オンリーの活動と見ていいだろう。純増数拡大を実現するためにどちらに軸足を置くのか。こうした点は、企業文化も多分に影響しているのかも知れない。

なお、分類にあたっては、客観的な指標ということで3社の解約率をベースにマッピングした。例えば、解約防止の層にマッピングされているから新規を重視していないという意味では全くないということは、あらかじめ断っておきたい。

一方、もう1つの軸である「音声料金」については、従来からの従量制と今年度に入り各社一斉に導入を発表した定額制に大きくわけることができるが、そのいずれを選択したかによってマッピングしてみた。

NTTドコモは、新料金プラン導入に合わせて従量制での新規受付ができなくなったのに対し、KDDIとSBMは両方のプランを今後も選択できるようにしている、また、音声サービスを提供しているMVNOは、従量制のみの対応となっている。こうした2つの軸上に、大手3社とY!mobile、MVNOをマッピングしてみたのが上記のポジショニングマップとなる。

次の焦点は苦戦が伝えられるNTTドコモがどのような手を打ってくるかではないだろうか。仮に定額だけでなく、従量制も取り入れてくれば、競争の軸は大きく変わることとなる。目まぐるしく変化する業界だからこそ、競争の軸は常に変化し、それが各社の優劣(純増数、シェア、収益など)に大きな影響を及ぼすということではないだろうか。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて12月5日に公開された記事となります。
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