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iPhone効果で急拡大を見せるBWA市場

携帯電話の純増数が伸び悩むなか、急成長を見せているのがUQコミュニケーションズ(モバイルWiMAX)およびWireless City Planning(AXGP)が提供するBWA(Broadband Wireless Access)サービスである。今回は、BWAに注目し、その動向を紹介したい。

(出典:各社IRデータ)

わが国におけるBWAは、周波数としては携帯電話よりも高い2.5GHz帯を利用し、高速データ通信に特化したサービスを提供している。商用化の時期は、KDDI系のUQが2009年から、ソフトバンク系のWCPが2011年からとなっている。

加入者数は、参入時期が遅かったWCPが2012年度末時点で122万とUQに大きく引き離されていた。しかし、当時ソフトバンクがiPhoneに傾注していた関係からメインの2GHz帯がパンパンで、そのオフロード戦略の一環としてWCPからMVNOを受けるカタチでAndroid端末向けに「SoftBank 4G」として提供したことで一気に加入者数が増加した。

一方、モバイルWiMAXを提供するUQは2013年からは最大110Mbpsの高速サービス「WiMAX 2+」を新たに開始したが、それにあたり総務省の電波監理審議会に新たな周波数帯幅(2.5GHz帯の20MHz幅)を申請し認可を受けた。しかし、同時にWCPも申請しており、その行方に注目が集まったものの、最後はUQの顧客がWCPの約3倍の422万人(2013年6月時点でWCPは153万)となり、混雑がより深刻だとしてUQが選ばれる結果となった。

その後、両社の加入者数は2014年度に入り加速度的な伸びとなるのだが、その最大の理由は2014年9月に発売されたiPhone 6/6 Plusで、KDDI(UQ)とソフトバンク(WCP)の端末にそれぞれBWAが搭載されたためである。

現在では、スマートフォンのほとんどに標準搭載となってきており、今後も加入者数は順調に拡大していきそうだ。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて6月19日に公開された記事となります。
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