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大容量データプランの設定でより見えにくくなった「データ単価」

通信キャリアの料金プランにおける今年の新たな動きとして「大容量データプラン」が挙げられる。「iPhone7」発売を控えた9月にソフトバンクが先陣を切って投入し、各社が追従したのは記憶に新しいところだ。

データ通信を大量に行うユーザーにとって福音となった新プランだが、この価格設定がデータ単価を見えにくくしたのではないだろうか。

1GBあたりのデータ単価に最大10倍以上の開き
出典:各社プランをもとにMCA。サブブランドを除く通信キャリア3社のスマホ向け現行主要データプランの平均値から算出。音声やISP料金、割引を含まず。

上のグラフは、通信キャリア3社の主なスマホ向けデータプランについて、各プランの「1GBあたり単価」の平均を算出したものである。

例えば、2GBプランはNTTドコモとソフトバンクが3500円で提供しているが、この場合の単価は機械的に「3500円÷2GB」と計算式にあてはめ、1GBあたり1750円と算出した。

グラフの通り、大容量プランほど単価が安くなる傾向にある。MVNOも基本データ容量が少ないプランの方が相対的に単価は高くなるケースが多く、そもそも「まとめ買い」した方が単価が安くなるのは通信に限った話ではない。

また、データ通信の料金には、端末値引きや各種ポイント・クーポンの原資、店舗・サポート維持コストなど通信に直接かかわらない諸費用が含まれているとみるのが妥当であり、単純に料金を容量で割ってしまうのは少々乱暴な議論であることは承知している。

とはいうものの、同じ1GBのデータ通信にもかかわらず、料金プランによって最大10倍以上もの開きが生じるのは、ヘビーユーザーへの優遇が強すぎないだろうか。比較対象としてMVNOを例にとると、「楽天モバイル」の場合、3.1GBプランが290円/1GB、30GBプランが182円/1GBとその差は1.6倍にとどまる(データSIMの場合)。

大容量プランほど繰り越しても使い切れない容量が発生する割合が高くなるため、その分を見越して安くしていることも考えられるが、それは通信キャリアとMVNOで条件に違いはない。

以上かなり厳しい指摘をさせていただいたが、来年以降、ヘビーユーザーにもライトユーザーにも納得感のあるプランが登場することを切に願っている。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて16年12月9日に公開された記事となります。
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