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ドコモに改正電気通信事業法「確認措置」による行政指導、その内容と改善策

NTTドコモは、2016年5月18日から2017年7月2日までの期間に契約手続きを行ったユーザーを対象に、「確認措置」に関して総務省から行政指導を受けたため、遡って契約解除を受け付けると発表した。今回は、2016年5月に施行された改正電気通信事業法で運用がはじまった「確認措置」について、取り上げていきたい。

「確認措置」とは、消費者保護を目的に、2016年5月に施行された改正電気通信事業法で定められた制度で、電波のつながり具合が不十分な場合と、事業者による説明等が不十分な場合は、消費者の申し出により、携帯電話等の端末も含めて電気通信サービスが違約金なしで契約解除できるというもの。

総務省によれば、NTTドコモは、契約者が具体的に確認措置制度を適用したいと制度名を挙げない限り、適用を拒否。無償解約と端末返品がなされていなかったとし、MNO3社の「措置措置」の運用状況に関する実態(平成28年10~12月の状況)として下記のように公表している。

(1) 新規契約のうち確認措置適用の申出が利用者からあった比率でみると、(株)NTTドコモのみ、他2社の1/100~1/60程度。
(2) 申出を受けてどの程度が実際に契約解除に至ったかの比率(解約比率)でみると、(株)NTTドコモの解約比率が他2社の半分以下。(他2社は申出の大半が契約解除に至っている)。
(3) 契約初期に契約解除を要望する苦情等は他2社に限らず同社についても一定比率
※総務省「確認措置の運用状況に関する検証結果について」より抜粋

上記の数字からも明らかなように、KDDI、ソフトバンクと比較してNTTドコモの「確認措置」による契約解除に応じた数が、著しく少ないことが分かる。

今回の改善指導を受け、NTTドコモは2017年度第1四半期の決算発表の場で、下記の改善策を明らかにした。

(1) 「契約書にサインしていれば確認措置に応じない」姿勢を改める。
(2) 確認措置の受付は、顧客が契約した店舗のみで対応していたが、これを直営の専用受付センターを設ける(8月以降)。
(3) 分かりやすい契約書類や説明ツール、スタッフの研修などを強化していく。

携帯電話事業者間の顧客流動性が減速するなか、携帯電話事業者の施策の重点は入口(新規)から出口(解約)へと移ってきている。消費者保護の観点から、MVNOも含めサービス提供者には、一層の対策強化が求められている。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて7月28日に公開された記事となります。
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