グラフで比較するキャリア決算(3):

通信各社が力を入れる新領域の状況をカード取扱高とEC事業から比較する

通信キャリア各社の決算数値から、各社の状況を比較する本企画。最後に、通信以外の新領域として各社が力を入れている、金融・決済とECの2分野について整理してみたい。

各社揃ってクレジットカード取扱高は前年比20%超の急拡大

2020年7~9月期の各社クレジットカード取扱高は、楽天が2兆8917億円(前年同期比20.4%増)、NTTドコモが1兆2695億円(同27.8%増)、ソフトバンク傘下のZホールディングスが5833億円(同26.6%増)となった。クレジットカード取扱高を開示している3社が揃って、取扱高を2割超拡大させていることとなる。

もともと各社が力を入れている分野だが、コロナ禍でのキャッシュレスシフトや、オンラインショッピングの拡大も追い風に、各社とも順調な勢いを見せている。

カード取扱高に加えてQRコード決済などの金額も含んだ「金融・決済」額を開示している2社についても、KDDIが2兆1620億円(同38.8%増)、NTTドコモが1兆6805億円(33.8%増)と、カード取扱高以上の勢いで急拡大していることが分かる。

楽天・Zホールディングスともに数字を伸ばしたEC流通総額

続いて、ネットショッピングなどの状況をあらわす「国内EC流通総額」を見てみよう。

通信4社のなかで、数値を開示している2社の2020年7~9月期国内EC流通総額は、楽天が1兆986億円(前年同期比11.7%増)、Zホールディングスが7849億円(同29.8%増)で、いずれも成長著しい結果となった。

なお、Zホールディングスの前年同期比増加率が高い要因の1つは、ZOZO子会社化(昨年11月)によって同社流通額が上乗せされた点にある。ZOZOの7~9月期商品取扱高は903億円で、Zホールディングスのeコマース取扱高拡大に大きく貢献している。

EC分野は、通信キャリア系の「dショッピング」「au PAY マーケット」だけでなく、アマゾンジャパンを筆頭に多くのサービスがしのぎを削っている。今後の拡大に向けて、合従連衡も含めた様々な動きが起こりそうだ。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて11月28日に公開された記事となります。
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