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「ahamo」によって変容する「料金プラン」と「代理店」

NTTの完全子会社となった新生NTTドコモの発表した新料金プラン「ahamo」旋風が、業界を席巻している。今回は、「ahamo」登場の背景とこれからについて考えていきたい。

NTTドコモが20代向け新プランとして位置付ける「ahamo」の月額料金は2980円(税別)。データ容量が20GBで、国際ローミングも追加料金無しで利用可能。4Gだけでなく5Gネットワークにも対応しているのが特徴の1つで、5分以内の国内通話無料がこのパッケージに含まれており、別途1000円をオンすれば通話し放題が可能となる。

NTTドコモのIR資料によれば2020年度第二四半期のモバイルARPUは4760円ということで、単純にそれと比較すると約4割の値下げとなる。

「ahamo」の料金は、電気や光回線など他商材とのセットではなく、期間限定でもない。取扱いはオンラインのみだが、解約金や事務手数料も必要なく、端末とセットだけでなく、SIMカードのみの契約も可能となっている。

これまでの常套手段を一切排除し、いわゆる'裸'で低料金を提供してきたことが大きなインパクトを及ぼしたのではないだろうか。

そしてもう一つ。この低料金を実現するために決断したのが、ショップチャネルではなく、ネット専用とすることで販売コストを削減した点である。おそらく、これが同プラン最大の『肝』ではないかと推測する。

下図は、NTTドコモが年間で支払っている代理店手数料の推移である。年間で4000億円弱をショップを運営している代理店に支払っており、今回「ahamo」ではこのコストが大きく削減されることを前提に料金設計されたのではないかと推測する。

弊社が半年に1回サーベイしている「キャリアショップの展開状況と店舗一覧」の最新号によれば、全国のドコモショップ数は2330店舗に上っている。

12月22日にはソフトバンクがLINEモバイルを完全子会社化し、オンライン専用の新ブランド「SoftBank on LINE」(仮称)を立ち上げ、データ容量20GBを月額2,980円(税別)で利用できる料金サービスを2021年3月から開始すると発表した。これにKDDIや楽天が追随あるいは対抗してくることは必至で、これからの料金プランの1つの方向性を示したことは間違いない。

「ahamo」の登場は、今後の携帯会社にとって体力勝負の料金競争幕開けという側面だけでなく、代理店のあり方についても変容を迫る可能性があるのではないだろうか。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2020年12月26日に公開された記事となります。
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