テーブル下で進むMVNO

 ディズニーがソフトバンクモバイルのMVNOとして携帯電話事業に参入することが発表された。両社のネットワークや販売網、ブランドやエンタテインメント資産などを融合し、2008年春よりサービス開始を予定しているそうだ。

 周知の通り、国内のMVNOというとPHSが一般的だった。時同じくして、イー・モバイルもNECビッグローブら6社「MVNOコンソーシアム」を結成し、共同マーケティングや通信と放送のデジタル化の中で創出しうる新たな事業の共同研究なども行うことが目的としている。

 誰もが携帯キャリアに申し込めばMVNOができるような時代になるのか、期待は膨らむが、個人的にはまだまだではないか感じる。ディズニーもISPの抱き合わせ販売も、これまでにも誰もが予見してきたシナリオの1つでしかない。もっと、誰もが参入を検討できる取引条件や参入方法などがテーブルに上がってこないと、携帯キャリアが取引先を指名するという基本的な関係性は何も変わらないのだ。

 先日、ある関係者と情報交換をしていると、ある携帯キャリアでは音声で既にMVNOを数社に提供しているようで、これもいわゆるテーブル下で交渉の結果だそうだ。その会社によると、積極的にプロモーションすることを携帯キャリアからは止められているそうで、こうしたケースはなかなか表には出てこない。

 何故、テーブル下でしか交渉が進まないのか。理由の1つには、携帯キャリアにとって都合のいい企業と付き合いたいという考えがあるためだ推測される。別の関係者によると、自社でMVNOをやりたいというところは結構多く、そうした人達は自発的に集まり研究会なども開催されているらしい。しかし、携帯キャリアにとっては、全てを受け入れてしまったら、(携帯キャリアにとっての)秩序を壊す業種、企業が参加する可能性もある。それは、避けたいというのが本音だし、その気持ちが分ない。

 しかし、それで国民共有の財産である電波を使っている携帯電話の社会性は保たれると言だろうか?