効率的なインフラ投資一考

 2008年に入り、携帯市場の勢力図が大きく変わろうとしている。従来、一人勝ちでシェア拡大を続けていたKDDIに急ブレーキがかかる一方で、ソフトバンクモバイルが躍進。防戦一方だったドコモは、新端末と新料金プランで復調傾向が見られる。

 MNPという顧客流動化の流れは、各社の2年契約という縛りの影響で、今後も有効に作用するのか注視していく必要があるが、今日の報道によるとソフトバンクが携帯ー固定間の通話無料サービスを開始するという。ソフトバンクモバイルの携帯電話とBBフォンの間に限定されるものの、今後は携帯と固定を跨いだ競争へと舞台が移っていきそうな気配である。

 各社のインフラネットワークは更なる高速化へと向かい、2008年以降は次世代投資も本格化してくものと考えられる。しかし、これまでもそうだったように、こうしたインフラ投資の目的は、全国あまねく携帯電話を使えるようにすることにあるが、他にもデータ通信サービスの高速・大容量化にある。つまり、ARPUで言うところのデータARPUの強化だ。しかし、データARPUは、各社ともARPU全体の約2割程度しかなく、見方によってはそのためだけに、毎年数千億円の設備投資が行われているという捉え方もできる。これは一例だが、ドコモのFOMAの設備投資は、開業から数えて約2兆円に上っている。

 たった2割のために毎年、大規模な接尾投資をやっているのか、という気がしないでもないが、それについては関係者の間でも様々な議論があることだろう。むしろ、そうした観点から考えると、ソフトバンクモバイルの音声定額「ホワイトプラン」は、効率的に設備投資を活用しているなあと思ってしまうのは私だけだろうか。