Research Note:

今後も再編進む基地局工事市場

PM:ある工事会社との定例ミーティングにて。

 キャリアを頂点とするモバイル市場の構造。最近では、市場のオープン化の動きも見られるが、それは一部のレイヤーのごくごく一部の企業に限られているのが実情だ。

 そんな今も昔も変わらない『鉄の関係』を維持しているのが、工事業界ではないだろうか。

キャリアとのドメスティックな人間関係をベースに、その間は深く、そして複雑に入り組んでいる。

 基地局あたり○○本の回線契約を工事をうけたキャリアからノルマとして課される。機器を購入する際に工事関係の協力金拠出を求められている。両者の関係をあらわす事例として、こんな話をよく耳にする。

 景気がバブリーな頃は、そんなにキツくなかったらしいが、ご多分にもれず、この業界も飽和状態にある。

 いた仕方ないとその関係者は述べる一方で、でもそれこそひと昔前は、鞄に○千万入れて置局交渉に行っていたというのだから・・・,

 弊社では以前に海外の携帯基地局の調査をやったことがあるのだが、あるアジアの国での実態をつぶさに見て、愕然としたことがある。余ったケーブルは野ざらしで、基礎は不十分だし、日本の基準からみると、いつ災害が起きてもおかしくない状態だった。

 それに対して、日本の基地局は、一部を除けば「美しい」。日本人の勤勉さや真面目さを表現するかのように、せい然としている。

 しかし、関係者によるとここ数年のデフレ経済下におけるコスト削減のプレッシャーは凄まじく、これまでの品質を維持しながらコスト削減要求に応えるというのは限界にきていると口を揃える。

 特に、工事する人員、車両、そしてそれなりの拠点を維持していくためには、一定の予算規模と工事需要の見通しが絶対条件となる。今は、それが視界不良なのだという。

 今年に入り、大手工事会社の合併が進んでいるが、今後更にこうした動きが加速していくと推測される。