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加入者拡大戦略へ舵を切った?モバイルWiMAX

 UQコミュニケーションズが10月より「WiMAX PC バリューセット」の提供を開始することを発表した。同サービスは、「WiMAX統合ポータルサイト」からWiMAXパソコンにて「UQ Flat」もしくは「UQ Step」を契約した人を対象に加入月およびその翌月は無料でWiMAXサービスを利用できるほか、登録料の2,835円が無料となる。更に「UQ Step」契約者は、その後も10ヵ月間は月額基本料金分の380円が割引となり、利用の無い月は0円、最大でも4,600円になるという内容だ。

 2010年8月末時点の加入者数が30万弱と決して順調とは言えないUQコミュニケーションズが打ち出した新たな一手ということだろうが、料金負担を極限にまで軽減することで、これまで以上に加入者増加に舵を切ったということかも知れない。

 店頭にいくと、データ通信カードの競争が熾烈だ。各社、ノートPCを購入する際にモバイル各社のデータ通信カード付きだと3-4万円、あるキャリアでは料金プランによっては最大6万円値引きでノートPCを購入することができるため、機種によっては0円で購入することが可能となっている。

 昔ながらの携帯電話のインセンティブモデルをノートPC+データ通信カードにスライドさせただけのことだが、ある携帯会社の幹部によると、「未開拓の市場だから問題ない」のだそうだ。

 個人的には、そんな屁理屈はどうかと思うのだが、これによってデータ通信カード市場が活性化したことは間違いない。しかし、このインセンティブモデルは、契約期間で顧客を縛ることができるからこそ成立する。

 その点、『縛り』を是とないモバイルWiMAXには追随できない事情がある。携帯電話と違う立ち位置を目指しているからこそのメリットもあるが、今はそれ以上に厳しさを感じている時かも知れない。

 しかし、戦いはスタートしたばかりだ。最大の弱点であるエリア整備がひと段落してからはじめてイーブンとなる。激しい顧客獲得競争にさらされ致し方ない部分があるにせよ、今は経営資源をそこへフォーカスすべき時ではあることも忘れるべきでないだろう。