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下り最大42Mpsの「EMOBILE G4」を発表したイー・モバイルの戦略メモ

 データ通信の高速化でライバルをリードしてきたイー・モバイルが、11月19日より下り最大42Mps/上り最大5.8MbpsのDC-HSDPAサービス「EMOBILE G4」を開始すると発表した。

 通信料金は現行の毎秒21Mbpsのサービスと同じに据え置いた。月額固定の「G4データプラン」で2年の継続利用を前提とした「ベーシック(にねん得割)」が月額5,280円など。

 当初は関東、東海、関西、北海道、九州の一部主要都市での提供となるが、その後エリアを広げ、2011年3月末には約40~50%の人口カバー率を目指すとしている。「EMOBILE G4」以外のエリアでは、既存のHSPA+などとバックコンパチで対応可能となっている。

 2007年3月にデータ通信専業型キャリアとして3.6Mbpsのデータ定額制を武器に参入を果たしたイー・モバイルは、常にライバルを上回るデータ通信サービスをいち早く導入(2007年12月に7.2Mbps、2009年7月に21MbpsのHSPA+)することで、弱点であるエリア整備をカバーし戦ってきた。

 PCとデータ通信カードをセットにした100円PCや、PCやPDA、携帯型ゲーム機などを無線LAN経由でインターネットに接続できるモバイルルーター「Pocket WiFi」などのヒットで、開業1年目は約100万、そして2年目は約95万の純増数を獲得し、累積加入者数は2010年9月末時点で274万件まで増加。

 開業当初、調達していた資金から現在の加入者数を換算すると加入者一人あたり約3万円の獲得コストと、効率性は決して悪くないものの、端末代を肩代わりし通信料金で回収するモデルは、資金力に限界のあるベンチャー企業にとって楽な仕組みではない。その点、端末を割賦にし債権として早期に現金化できるソフトバンクの開発したモデルは秀逸である。

 そうした背景もあり、今年親会社であるイー・アクセスとの合併に踏み切ったと見られるが、とわ言え、まだ300万レベルの加入者数しか持たない携帯キャリアという言い方もできる。

 12月にはドコモがLTEの商用化を計画しているが、W-CDMAの延長技術であるDC-HSDPAで対抗するあたり、性能がLTEと変わらず、更にはその先の高速化技術も開発されてきているDC-HSDPAの方がコスト面でも十分対抗できるとする読みがあるのではないかと思われる。

 今回、サプライズでAndroid搭載のスマートフォン「HTC Aria」投入が発表されたものの、コンテンツやプラットフォームも手がける総花的な携帯キャリアを目指すのか、それとも堅牢な通信ネットワークを提供する土管屋に徹するのか、その決断の時期もそう遠くないように思える。