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4G商用化へ向け課題となる携帯キャリアの収益モデル創出

 LTEの商用化がはじまったばかりというのに、ドコモは第4世代(4G)移動通信方式「LTE-Advanced」の実験用無線局の予備免許を取得したと発表した。

 実験試験局免許が得られた後、横須賀市のドコモR&Dセンタ内および周辺と、相模原市の市街地で実際の使用環境で無線伝送実験を行うとしている。

 3.9Gとも言われるLTEの次の世代が4Gであり、国際電気通信連合(ITU)の無線通信部門(ITU-R)では、2010年10月にそれまで検討されてきた6つの規格案から「LTE-Advanced」と「WirelessMAN-Advanced」の2つを選択している。

 「WirelessMAN-Advanced」は、、UQコミュニケーションズが提供しているモバイルWiMAX(IEEE802.16e)の次世代技術である。

 既にドコモは、室内信号伝送実験で下り約1Gbps、上り約200Mbpsの伝送には成功している。

 他社へ先駆けて4Gの開発を推進していくあたり、携帯キャリアでありながら世界でも稀有な社内に研究開発部門を持つという事業体だからなせるワザだろう。世界トップにこだわったW-CDMA、FOMA立ち上げ当初の苦労を繰り返すことを嫌いITU-Rに4Gへの橋渡しとしてLTEを提案して標準規格にするあたり、世界広しといえどもドコモならではないだろうか。

 2015年以降の導入とされる4Gだが、そのエリア展開は3Gのように全国をカバーするものではなく、需要が高いエリアへ既存のネットワークにオーバーレイの形で展開されていくと見られる。

 その頃になると、加入者の純増もほぼほぼストップ状態(対ヒト向け)となり、4Gの基地局投資コストをどのように回収してくのか大きな問題になるだろう。4G化への流れとともに、携帯キャリアには新たな収益モデル創出という課題が突きつけられている。