パナソニック システムネットワークスの基地局事業の行方

 パナソニック モバイルコミュニケーションズ(PMC)が2013年4月1日に、パナソニック システムネットワークス(PSN)へ携帯電話基地局事業を移管した。基地局事業はPSN インフラシステム事業部内のネットワークビジネスユニットが担当する。

 PMCの基地局事業は2007年にノキア シーメンス ネットワークス(NSN、現ノキア ソリューションズ&ネットワークス)とNTTドコモ向けLTEネットワーク・インフラの提供で協業した。11月にはLTE/W-CDMA方式共用の2.1GHz帯向け光張出し無線装置の共同開発を開始している。

 2011年1月にNTTドコモの商用LTEサービスへLTE/W-CDMA方式共用光張出し無線装置が採用された。ただ、NSNによるLTE無線機の開発が遅れ、2010年12月のサービス開始時に間に合わせることができなかった。

 従来、PSNにおけるNTTドコモの3G無線機シェアはNECや富士通に並び、3強の位置を占めていた。しかし、関係各社から話を聞いていると、LTE無線機シェアではNECと富士通の2強体制に変わりつつあるようだ。LTE無線機の開発遅れや、NECと富士通に比べてPSN/NSNのLTE無線機は大型とされる点などの影響とみられる。

 シェアを落としているPSNであるが、2013年2月21日にはNSNとともに、NTTドコモのLTE-Advancedネットワーク・ベンダに選定されている。競合のNECや富士通も選定されており、3強に一角に踏みとどまることができた。そうした中、3月1日に発足したPSNへ基地局事業移管が行われた。関係各社はPMCが事業分離を行ったことにより、その後の事業譲渡がしやすくなったとの見方も多い。

 事業譲渡先として、第一候補となるのはPSNと最も関係の深いNSNであろう。しかし、NSNは現在、親会社のNokiaが仏Alcatel-Lucentのワイヤレス部門との提携ないし買収を検討しているとされる。Nokiaとしては、PSNよりも仏Alcatel-Lucentとの関係を強化させ、北米市場などで攻勢に出たい考えとみられる。

 次にSamsung ElectronicsやHuawei Technologiesも候補になるのではないだろうか。すでに両社とも国内の無線機市場に参入しているが、NSNやEricssonに比べてシェアは小規模である。PSNを買収してNTTドコモへの参入を図ることでシェアを拡大させ、グローバルでの宣伝効果も期待できる。

 最後にEricssonも可能性があるものとみている。すでにNTTドコモのLTE無線機市場に参入しているが、3G無線機に比べて大きな実績が残せていない。現在、ソフトバンクモバイルとイー・アクセス(イー・モバイル)に無線機、KDDI(au)にはIMSを供給しており、NTTドコモへの無線機供給を本格化させることで国内での地位は磐石となる。