NFV導入に向けたNTTドコモの動き(1):

NTTドコモが先駆的にNFV商用化を図る理由

NTTドコモが2015年度のNFV(Network Functions Virtualisation)商用化を目指している。NTTドコモは、2015年度中にベンダ各社からNFV商用化を意識した製品の提供が開始されるものとみている。そのため今後の展開を踏まえ、できるだけ早い時期にNFVを導入し、運用実績を重ねることでネットワークの安定運用ノウハウを蓄積したい考えがある。

2015年度のNFV商用化を目指すNTTドコモ
しかし、NFV導入には現状、既存設備との整合性確保やネットワークの信頼性、仕様などの問題がある。これらの諸問題の解決次第でNTTドコモのNFV商用化は一気に展開が進むものとみられる。グローバルでは北米市場の米AT&Tが今後の通信機器調達に関し、仮想化を前提とする方針を表明しており、NFV商用化の兆しがみえつつある。

NFVとは、ネットワークに仮想化技術を採用することにより、これまで専用ハードウェア(アプライアンス)で構築されてきた通信ネットワークの機能を、汎用ハード(サーバ)上で構築しようとするものである。導入メリットはネットワーク構築や運用コストの削減、サービス開発の迅速化、ネットワークリソースの柔軟な割り当てなどが見込まれている。

NTTドコモに限らず、キャリアは遠からず、既存ネットワーク更改の際、物理ネットワークのままで更改するのか、仮想化に移行するのかの判断が迫られるだろう。KDDI(au)はKDDI研究所とNFVに関する実験などを行っているとされるが、ソフトバンクモバイルには現状、積極的な動きはみられていない。

2014年5月にはベンダ3社とNFV実証実験の成功を発表

すでにNTTドコモでは2014年5月に、仏Alcatel-Lucentや米Cisco Systems、NECとのNFV実証実験の成功を発表している。実験は仮想化EPC(Evolved Packet Core)における基本機能の実証が目的であり、オートスケーリング(トラフィックに応じた通信設備処理能力の自動可変化)や、通信設備が故障した際の予備構成への自動切替機能も検証した。

3社が仮想化EPCを導入したIAサーバを提供し、3社の機器がともにオートスケーリングと自動切替機能を実現できる点が確認されている。NTTドコモは今後、3社以外のベンダとの実証実験も行っていく方針である。

本記事の詳細は「NFVの動向と関連市場における主要プレイヤーの戦略に関する調査 2014」をあわせてご参照ください。
NFV導入に向けたNTTドコモの動き
  1. NTTドコモが先駆的にNFV商用化を図る理由
  2. 残されたNFV商用化における課題