Analyst Column&Report:

SIMロック解除前に変化するスマホOSの情勢

携帯各社のスマートフォン化への流れが続いている。2014年度Q2時点における各社のスマートフォン利用者数は、NTTドコモが2,640万(契約者数の41.1%)、KDDIが1,909万(パーソナル契約者の51.6%)まで拡大してきている。

尚、ソフトバンクについては、非公表であるため明らかではないが、最も早くスマートフォンに舵を切っただけに、上記2社より契約者数に占めるスマートフォン比率が高いということは容易に察しがつく。

いずれにしても様々な統計データなどからも、スマートフォン利用者数は携帯契約者の半数を超えたところのようだが、しかし、ここへきてそのスイッチの伸びに鈍化が見られるようだ。

実際、NTTドコモを例にとると、2013年度Q2時点で2,157万だったスマートフォン契約者の純増数はその前後の1年間で比較すると約200万減少(2014年度Q2期)している。

一方、スマートフォンのOS別では、iOSがAndroidを上回っており、Androidが主流となっている世界のトレンドから見ても、特異な市場であることが分かる。これはiPhoneを販売の軸に据えて携帯会社が顧客開拓を推し進めてきた結果でもある。

NTTドコモがiPhone取り扱いでまごついている間隙をぬって、KDDIとソフトバンクはiPhone向けにキャッシュバックの他に、代理店へもAndroidではあり得ない特別インセを投下し、NTTドコモからのMNPを促してきた。

しかし、2014年にNTTドコモがiPhoneを取り扱うようになると戦況が変化した。もともとAndroidと比較し、利幅が少ないiPhoneに力を入れてきた携帯会社はiPhoneで横並びとなったことを受け、一斉にAndroidへ舵を切ったのだ。

日頃、意見交換している代理店関係者によると、ある携帯会社は2014年度Q4期に入り、iPhone向けインセンティブは、MNPであってもQ3期に比べ10分の1以下へ値下がりしているという。それに対してAndroidのインセンティブには大きな変化は見られない。

こうした状況が年度末まで続くかは不明だが、仮にそのトレンドのままであれば、2014年度のスマートフォンOSのシェアに影響を及ぼすこととなりそうだ。