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間もなくはじまる?古くて新しい「ガラケー」の復興物語

スマートフォンの普及が契約数の半数を超える中、再びガラケーが注目をされてきている。

ガラケーは、iモードなど独自の進化を遂げてきたが、1998年のiPhoneの登場以降、スマートフォンの普及が本格化したことで、出荷台数は年々減少傾向にある。

市場のスマートフォン化のトレンドは、今後も大きくは変わらないだろう。しかし、これまでスマートフォン一色に変えようと目論んできた携帯各社の姿勢に変化が見られるのも事実である。

2014年に一斉にはじまった音声定額では、スマートフォンの月2,700円に対して、ガラケーは2,200円という低料金を設定することで『生存権』を与え、スマートフォンへの無理なスイッチを強要する機会も少なくなった。

また、ソフトバンクは昨年末からは期間限定(2015年2月1日)ながら、他社ガラケーからのMNP+3年契約で月1,480円の通話し放題プラン「ガラケーのりかえ割」を展開しているが、特定エリア(中国、四国)では月980円となっている。

ちなみに同プランで代理店に支払われるインセンティブは、音声だけとパケット契約を付ける場合で約5倍の開きがあり、当然だがソフトバンク的にはパケット契約必須を求めてはいる。

こうした動きは、逆に言えば目の前にキャッシュバックのニンジンをぶら下げられても、コスト面や機能面、デザインや必然性など理由でスマートフォンではリーチできない層が確実に存在するということだろう。

しかし、そうした層へ引き続きガラケーを利用してもらうには、根本的な問題が立ちはだかっている。アップルやサムスンなどから、完成されたしマートフォンを調達すること当たり前となっているなか、OSや半導体、ヒンジなどガラケーを作るためののサプライチェーンが寸断状態となってしまってるのだ。

ガラケーは、1機種100億円の開発費と言われるように携帯会社と端末ベンダーが共同でチップやOSを一から開発していく一品モノだ。今や斜陽産業となった現代のガラケーに同じような開発費をかける余裕もパートナーもいない。

そこで注目されているのが、ガラケーにスマートフォンで使われているAndroid OSを載せる「ガラホ」端末だ。外見上は、我々がこれまで親しんできたガラケーそのままに、機能的にはスマートフォンの特徴である多機能化を封印し、ガラケーとして違和感なく利用できるようになるとされる。また、中味は最新のAndroid OSであるから、LTEやVoLTEにも対応する。

携帯各社は既に開発に取り組んでいると思われるが、その成果が発表されるかもということで直近で注目されるのが、1月19日(月)に開催されるKDDI(au)の新製品発表会である。

古くて新しいガラケーの復興を期待させるものであって欲しいと思う。

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