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モバイル市場への再参入を本格化させる電力系通信キャリア

先日、四国電力子会社のSTNetがMVNO方式のモバイル通信サービス「Fiimo」(フィーモ)の提供を2月15日より開始すると発表した。電力系の通信子会社によるMVNO参入は、関西電力系のケイ・オプティコムの「mineo」(マイネオ)など、いくつかのサービスが立ち上がっている。

かつてASTELブランドでPHSサービスを立ち上げ、モバイル事業への参入を果たしながらも撤退に見舞われた苦い経験を持つ電力系通信キャリアのMVNO事業について、今回は取り上げていきたい。

電力系通信キャリアの主な携帯MVNO(SIM型)サービス一覧(出典:MCA)
会社名親会社開始時期サービス名調達回線サービス概要
NTTドコモKDDI
ケイ・オプティコム関西電力2014年6月mineo・プラン:シングル(データ通信)、デュアル(データ通信+音声)
・データ容量:500MB、1GB、3GB、5GB、10GB
・他:家族割、複数回線割、パケットシェア
エネルギア・コミュニケーションズ中国電力2014年12月メガ・エッグ モバイル MySIM ・プラン:シングル(データ通信/SMSはオプション提供)、デュアル(データ通信+音声)
・データ容量:1GB、3GB、5GB、無制限、二段階定額
・他:U-mobile(U-NEXT)と提携
九州通信ネットワーク(QTNet)九州電力2015年3月BBIQスマホSIM(d/a)・プラン:データ通信(BBIQスマホSIM dでのみ提供)、データ通信+SMS、データ通信+音声。
・データ容量:3GB、5GB、10GB
・他:KDDI網による「BBIQスマホSIM a」は2015年8月開始
STnet四国電力2016年2月Fiimo・プラン:データ通信、データ通信+SMS、データ通信+音声の3タイプ
・データ容量:3GB、5GB、10GB

百花繚乱にあるMVNO業界への参入は、その出自から「通信キャリア系」「ISP/CATV系」「メーカー系」「SI・情報サービス系」「流通・サービス系」の大きく5つに分類することができる。

そんな中、電力系通信キャリアは「通信キャリア系」に入るが、このなかにはMVNO市場のツートップであるNTTコミュニケーションズ、IIJも含まれている。

電力系通信キャリアのMVNO事業の特徴としては、表にあるように資本や取引関係からKDDI網の回線も調達するケースが多いということである。中国電力系のエネルギアはNTTドコモ網のみとなっているが、これはU-mobileのシステムを利用しているためである。

また、ツートップに次ぐグループに付けるケイ・オプティコムは、2016年1月22日時点のMVNO契約者数が約19万件とNTTドコモとKDDIのダブルキャリアの強みを活かし急成長を続けている。

かつてPHSでは、地域通信という呪縛に捉われていたが、MVNO事業では電力自由化の流れと歩調を合わせるように商圏を全国へ一気に広げ、これら市場に一定の影響力を与えていくこととなりそうだ。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて1月29日に公開された記事となります。
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