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3キャリアから出揃った"ライトユーザー向けプラン"を整理する

政府からの値下げ要請を受け、通信キャリア各社が検討を進めていた料金プラン。1月7日のソフトバンクを皮切りに、NTTドコモが1月29日、KDDIが2月1日にそれぞれ発表したことで、各社のプランが出揃った。改めて各社のプランを確認していきたい。

出典:各社プランより最安値のものをMCAが試算

各社ともターゲットは「ライトユーザー向け」だが、その実現手法は各社で異なる。

NTTドコモはデータ容量を分け合える「シェアパック」に5GBプラン(月額6500円/税抜・以下同)を新設し、1回5分までの国内通話がかけ放題となるプラン(1700円)と組み合わせることで、家族で契約した場合に5000円以下におさえている。

5GBプランでのシェアが可能になったことで、4人でシェアした場合は1人あたり4000円まで料金が下がる計算だ。ただし、1回線で契約する場合のデータ通信プランは現行の料金体系から変更はなく、最も安いプランでも6500円のままとなる。

ちなみに、1回線契約でデータ容量が5GBの「データMパック」は5000円なので、同じ5GBでもデータシェアか否かで1500円の差がついている点も指摘したい。

一方、ソフトバンクとKDDIは、データ1GBプラン(2900円)を新設し、1回5分までの国内通話がかけ放題となるプラン(1700円)と組み合わせることで4900円としている。

ソフトバンクにはNTTドコモと同様に家族間パケットシェアができる「家族データシェア」があるが、シェアできるのは比較的データ容量の大きなプラン(親回線が「通話し放題」の場合は10GB以上、「通話し放題ライト」の場合は15GB以上)に限られるため、今回試算した家族4契約までの範囲では、1GBプランを個々に契約した方が料金をおさえることができる。

以上3キャリアのプランを整理したが、今一度冷静に振り返ると、もともと安倍首相は「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題」と述べている。であれば、現行プランの値下げも選択肢の1つになりうるはずだった。別途検討されていた過度な端末値引きの抑制とあわせて「キャッシュバックを縮小し、その分を通信料金の値下げに回す」ことが期待されたが、結局のところライトユーザー向けプランの追加が落としどころになってしまった。ライトユーザーにとっては福音だが、その他のユーザーにとっては「通信料金は変わらず、端末実質負担だけが増える」事態になりかねない。端末負担感の高まりが買い控えにつながり官製不況の再来にならないか、今後の市場動向を注視していきたい。

[02/16 16:20 更新]
ソフトバンクの料金プラン発表日に誤記がありました。正しくは1月7日となります。ここに訂正するとともにお詫び申し上げます。本文は既に修正済みです。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2月5日に公開された記事となります。
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