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携帯キャリア3社の決算から契約数に関する指標を比較する

携帯キャリア3社の決算が2月10日までに出揃った。そこで今回は、各社の契約数をまとめるとともに、決算会見における各社社長の注目発言を取り上げたい。

各社IR資料よりMCA作成。ソフトバンクについては契約者数公表方法の変更に伴い増減の単純比較ができない部分を空欄とした。

2015年度第3四半期(2005年10~12月期)における各社の契約数増減は、NTTドコモが110.8万増、KDDIが60.1万増、ソフトバンクが36.9万減となった。ソフトバンクではスマートフォン、従来型携帯電話、タブレット等の契約数を主要回線と位置付けており、主要回線の増減では7.4万増だった。なお同社では、従来は通信モジュール等に区分けしていた「タブレット等と併せて販売されたSIMカード」を、今期より主要回線に変更している。

NTTドコモに比べ高い解約率のKDDIとソフトバンク、その要因と対策は
各社IR資料よりMCA作成。

今回の決算におけるキーワードとして「解約率」を挙げたい。各社により算出方法が異なるため単純比較はできないが、NTTドコモが解約率を一定に抑える一方、KDDIとソフトバンクは上昇傾向にある。その結果もあり「社内でもMNPプラスは目標としている。第3四半期はそれほど大きくないがMNPはプラス」(NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏)になったという。

一方、KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、直近の解約率が上昇しているとの記者の指摘に「要因は大きく2つある。MVNOに出て行っているのが1つの要因。もう1つはMNPが荒れていたので、解約新規が行ったり来たりで解約率が上がった。」と語った。

また、ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏は、解約率の高さが国内通信事業の課題だと決算プレゼンテーションの中で自ら明かしている。その解決策として、光回線や電力とのセット販売「おうち割」を取り上げた。光回線など複数サービスを利用している顧客の解約率は携帯電話単体の契約と比べ約半分とのことで、複数サービスの利用者増加をてこに解約率を抑制したい考えを示した。「おうち割」の適用拡大は通信ARPUの減少要因となり得るが、顧客流出の阻止を優先した格好だ。

「個人で5000円以下」プランを投入しなかったNTTドコモの意図は

前回の本誌にて既報のとおり、NTTドコモはライトユーザー向け新プランにおいて、個人(1契約)で5000円以下のものを投入していない。加藤社長は指摘に対し「『シェアパック5』の新設と『カケホーダイライト』への(シェアの)適用拡大で、実質的に1人5000円以下で使えるような環境が整った」と語った。

新プラン投入の意図を「単独1GB以下のところは検討したし、これからも検討に入ってくると思うが、まずは私たちの新料金プランはシェアを中心に、家族で、分け合いながら、長く安心して便利に使って頂くという基本に戻り、拡充を考えた」と説明した。ただし「きょう発表したものはまず第1弾と考えていただき、今後も適宜発表するべく検討につとめていきたい」とも語り、今後のプラン追加に含みを持たせた。

これらライトユーザー向けプランのほかにも、端末販売の「0円以下」取りやめなど今年に入り様々な施策変更が行われている。そのため、各社とも今後の見通しが立ちにくくなっているようだ。

新プラン投入が収支に与える影響について、加藤社長は「2年前のように大幅減収になる可能性は極めて低い」としつつ「予想は難しいが、一定の減収面はある」と語った。また、田中社長は「今期の業績にはほとんど影響は出ないと理解していただければと思う。来期は足下の市場動向もだいぶ変わっているので、何とも申し上げられない」と語った。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2月12日に公開された記事となります。
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