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大容量プラン登場で優良顧客の奪い合いへシフトする携帯市場

iPhone7が発売される直前に、ソフトバンクがデータ量を気にすることなく利用できる20GBと30GBの大容量プランを発表した。同社によると、93%の契約者が5Gバイトのプランを契約しているが、そのうちの65%は、データ通信量を気にしながらスマートフォンを利用しているという。5GBのプランに1,000円追加することでデータ量を4倍に増量できるとあって市場にインパクトをもたらしたが、この動きにKDDIとNTTドコモも追随。瞬く間に3社横並びとなってしましった。

今回は、この大容量プランについて、取り上げていきたい。

図:携帯各社の大容量プラン一覧
出典:各社HPより抜粋


ソフトバンクが9月8日に発表した新料金プラン「ギガモンスター」では、月額6000円で20GBと、月額8000円の30GBのプランが用意された。同社の5Gバイトのデータ定額パック・標準(5)は月額5000円となっていることから、これに1000円足すだけで20GBが利用できるようになる。この時点で大容量プランを導入していなかったKDDIとNTTドコモで20GBを利用する場合、1万6000円かかることから、大きなアドバンテージを得ることとなった。

この動きに即座に反応したのが、KDDIだ。翌日には同社データ定額サービスに「データ定額20」と「データ定額30」を追加すると発表したのだ。容量と料金をソフトバンクとピタッと合わせる一方で、データ繰り越しとテザリング無料(2017年4月30日まではキャンペーン)で差別化を図ってきたが、同日にはソフトバンクも同様の条件変更を行い、対抗してきた。

最後発のNTTドコモが「ウルトラパック」を発表したのは、9月13日。先行2社が大容量プランを開始するため、残された時間はなかった。内容的には、横一線の建付けだったが、ドコモはさらに、シェアパックとして50GBと100GBの大容量のプランを用意してきた。

映画やスポーツなど動画コンテンツへの需要が高まるなかで、携帯各社としては優良顧客を大容量パックで囲い込みたいという狙いが見えるが、そうした動きに入ってきたのがMVNOのイオンだ。

9月29日、イオンは20GB以上の大容量プランの料金を10月1日に値下げすると発表した。同社のプランでは、20GBプラン(音声通話、データ通信、SMS)は5980円だが、値下げ後は4980円と更に引き下げてきた。

これに他のMVNOが反応するのは時間の問題と見られ、今後の主戦場が従来の低ARPU層からシフトしてくこととなりそうだ。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて9月30日に公開された記事となります。
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