10月3日、総務省は5G周波数割当を前に公開ヒアリングを開催した。今回は同会議で明らかとなった携帯各社の5Gサービス展開、希望周波数などについて、整理していきたい。
公開ヒアリングでは、NTTドコモ、KDDIおよび沖縄セルラー、ソフトバンク、楽天モバイルネットワークの44キャリアのトップがプレゼンテーションを行った。各社の5Gサービスの展開イメージや希望する周波数幅については下記の表の通りとなっている。
5Gのサービス開始時期では、4社とも2019年度中のスタートとしており、NTTドコモは無料のプレサービス、KDDIとソフトバンクは高精細映像の配信やVRなどを使ったスタジアムソリューションなどを想定している。2019年10月より「4G」サービスを開始する楽天は、2020年春からの5G商用化を計画している。
その後、東京オリンピックを迎える2020年に本格展開がはじまり、2021年以降に5Gコアを導入した"フルサービス"がはじまるというスケジュールになりそうだ。
また、5G向けに希望する周波数割り当てに関しては、3.7GHz帯と4.5GHz帯に関しては4社とも100MHz幅を希望しているが、28GHz帯についてはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが400MHz幅を希望しているのに対し、新規参入の楽天は800MHz幅と2倍の割り当てを求めている。
エリア展開では、これまでの人を中心としたコミュニケーションから、5GではIoTなど物への搭載が本格化すると見られていることから、携帯各社は従来の人口カバー率による評価基準では対応できないとして、新たな基準作りを求めている。
この他、MVNOへの対応についてはNTTドコモ、KDDI、楽天の3社は高周波で使い方が限られる28GHz帯を除く、3.7GHz帯と4.5GHz帯では従来通りの提供が可能としているのに対し、ソフトバンクはスマホ向け以外については別途研究する必要があるとして慎重なスタンスであった。
5G向け料金に関しては、IoTなどサービス分野が多様化することで、一概には言えないとしているが、スマホ向けなど従来サービスに関しては、大きな変化はないとしている。
NTTドコモによれば5Gの通信速度は100MHz幅(キャリアアグリゲーション)で下り2.4Gbps/上り117Mbps、28GHz帯では400MHz幅で下り3.2Gbps/上り256Mbpsを想定するなど、大幅な高速化が見込まれている。
携帯キャリアにとって周波数は競争力の源泉である。楽天が新規参入を果たし、4社時代となるなか、総務省はどのような裁定を下すのか。引き続き注目していきたい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて10月19日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |