IIJが「IIJmio meeting #21」を開催:

SIM側から見た、ライトMVNOとフルMVNOの違い

インターネットイニシアティブ(IIJ)は10月、大阪と東京でトークイベント「IIJmio meeting #21」を開催した。MVNOに関する入門的な話からコアな内容まで、IIJスタッフがユーザー向けに直接解説を行った。今回はその模様を取り上げたい。

MVNOに関する用語、初期契約解除制度について解説

はじめに登壇したIIJ堂前氏は「MVNO用語集(MVNO・通信規格)」と題し、MVNOやMNOの違い、3Gや4G、LTEなどの用語説明に加え、5Gネットワーク構成にまで踏み込んだ解説を行った。

5Gについては、当面は無線アクセスの部分(NR)だけで、コアネットワークは4Gのものが使われるNon-StandAlone構成のためフルスペックの5Gメリットが得られる訳ではない点や、キャリア側から何の情報もないためMVNOが5Gを使えるかどうか現時点では分からない点などが示された。

IIJ辻氏が登壇した「MVNOと初期契約解除制度について」セッションでは、MVNOのサービスを使い始めたものの満足できないような場合、利用開始から8日間以内であれば特段の条件なく契約が解除できる「初期契約解除制度」について解説が行われた。

辻氏からは、制度の内容に加え、同社のMVNO「IIJmio」における対応が示された。個人向けの音声通話機能付きSIMの場合は制度の対象となるものの、同社の端末販売「IIJmioサプライサービス」や各種オプションは対象外であること、新規契約の場合はMNP転出ができないなど、注意すべき点が紹介された。

SIM側から見たライトMVNOとフルMVNOの違いとは

そして、SIMカードについて語られたのが「SIMカードの調達プロセスと管理~そしてeSIMへ」のコーナーだ。

登壇したIIJ木野氏はまず、ライトMVNOとフルMVNOでSIMカードの調達にどのような違いがあるのか、解説した。

ライトMVNOの場合、設備を借りているMNO(キャリア)が発行したSIMカードを調達することになる。SIMカードの設計やデザイン、品質管理などはMNO側が行っており、ライトMVNOは基本的に関与が難しいという。自由度が極めて少ない反面、それら管理をしなくても良いため「MVNOへの参入ハードルが下がっている一面もある」と指摘した。SIMカードの調達方法もシンプルで、MNO側に希望の種類・枚数を注文するだけだという。

対してフルMVNOの場合、自前のSIMカードを提供することとなり、やるべきことも大幅に増える。カードを製造するSIMベンダに対して直接フルMVNOが発注するため、SIMカードの仕様設計や書き込む番号リソース(IMSIなど)、納入方法まで、非常に多くの項目を自らが決めなければならないという。

今後普及が期待されるeSIMでは状況はどう変わるのだろうか。

木野氏によれば、物理的なカードの発行は不要になるものの、調達プロセス自体はフルMVNOのカードタイプSIMの場合とあまり変わらないそうだ。というのも、SIM内のプロファイル情報を管理するために必要なSM-DP+などの設備は認証ハードルの高さやコスト面で自前での導入が難しく、SIMベンダが提供するクラウドサービスを使う必要があるためだ。SIMベンダに対して、カードではなくプロファイルの発行を依頼し、調達する流れになるという。

出典:IIJmio meeting #21 発表資料「SIMカードの調達プロセスと管理~そしてeSIMへ」

同社のイベント「IIJmio meeting」は、年4回ペースで定期的に開催されており、次回は2019年1月から2月にかけて行われる予定だ。MVNOについてより深く知りたい方は、一度足を運んでみてはいかがだろうか。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて11月2日に公開された記事となります。
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