NFV導入に向けたNTTドコモの動き(2):

残されたNFV商用化における課題

NFV化の課題は多いものの、NTTドコモはNFVの商用化にあたり、できる限り多くの機能を仮想化させることで全体を効率化し、導入効果を発揮させたいという考えがある。そのため既存設備との整合性確保や、NFVの信頼性やパフォーマンスなど解決すべき課題も多い。

既存設備との整合性確保、信頼性、仕様問題などNFVの課題は多い

既存設備との整合性確保では、当面、仮想化と現行の物理ネットワークが共存する形で運用されるため、その際のネットワークの安定運用が注視される。一方、NFVの信頼性やパフォーマンスはキャリアにとって、非常に重要な項目となる。

すでに仮想化自体はデータセンタなどで商用化されている技術であり、IT業界には馴染み深い。しかし、テレコム業界ではユーザへのサービス提供において、無瞬断かつ継続性、トラフィック変動への対応などが重要視されるため、IT業界へのNFV導入に比べて要求される技術水準は非常に高い。

さらに大きな課題として、NFV商用化に際し、無線機のようにNTTドコモの独自仕様で進むのか、あるいはベンダが採用する標準仕様を採用するのかという点がある。特にNFV展開において、NTTドコモはマルチベンダ環境の実現を重視し、ベンダロックインの影響を最小限に抑えたい意向がある。

現時点でNFV導入はLTE無線機と同様な考え方で、NTTドコモがインタフェースを用意することにより、異なるベンダ製品を組み合わせても動作可能な計画になっている。ただ、独自インタフェースの採用はコスト面への影響が大きい。そのため将来のコスト削減を目指すのであれば、いずれかの段階で独自インタフェースの採用を見送る決断が必要とみられる。その決断がNFV導入時にみられるかどうか注目される。

本記事の詳細は「NFVの動向と関連市場における主要プレイヤーの戦略に関する調査 2014」をあわせてご参照ください。
NFV導入に向けたNTTドコモの動き
  1. NTTドコモが先駆的にNFV商用化を図る理由
  2. 残されたNFV商用化における課題