モバイル業界スナップショット:

iPhone 6発売で改めて注目される中古携帯電話端末の流通構造

iPhone 6発売の裏で注目されているのが、携帯各社が繰り広げている端末の下取りキャンペーンである。もともと携帯会社は、自社ユーザーを対象に機種変更時の負担を軽減するという目的で端末の下取りを行っていたが、iPhone 6発売では下取りの対象が他社ユーザーの端末まで広がったことで、懸案だったクーリングオフの端末非対象問題との整合性が改めて注目されている。

そして、今回の下取りキャンペーン競争の激化は、端末市場への中古端末流通の拡大という意味でもインパクトが大きいと推測される。そこで今回のスナップショットでは、携帯会社の管理下を離れた中古携帯の流通構造にフォーカースし、その動向を整理してみたい。

中古携帯電話端末の流通構造
(出典:MCA「携帯・スマートフォンの中古端末市場動向」)

上記の図は、現状の中古端末の流通フローである。売却や引取られた端末は、大きく「オークション」「店舗・ネット」や携帯会社の「下取り」「リサイクル」の4つのチャネルへ流れる。その後、「オークション」では次の購入者へ端末が渡るものの、「店舗・ネット」ではオークションサイトへの出品や、次の購入者へ行くケース、海外輸出、再資源化など、端末の需給や劣化の程度などによって様々なチャネルへ流れていく。そして、携帯会社の場合は、新品の販売減速への懸念や個人情報問題などから、国内流通は基本的に行っておらず、「海外輸出」と「再資源化」が大きなチャネルとなっている。

つまり、中古携帯として国内で流通するという範囲に限れば、「オークション」か「店舗・ネット」経由に限定されており、弊社の調査では「オークション」の方が僅かに流通している端末量は多いと推計している。しかし、今後は、中古携帯への認知度が高まってくれば、「店舗・ネット」の方が逆転する可能性が高いと考えている。

今回のiPhone 6発売によって、さらに中古携帯市場が活況づくのは確実視されており、当面、需要が供給を上回る状態に変化はない。急拡大する中古携帯端末市場に携帯会社は、これまで通り背を向け続けられるのか。仮に、携帯会社がショップで引き取った端末の国内流通へ舵を切れば、それは大量の中古端末が市場に流れ込むことを意味しており、ダムが一気に決壊するときである。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて9月26日に公開された記事となります。
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