モバイル業界スナップショット:

通信インフラ工事を担う「通建業者」の勢力図

携帯電話のつながりやすさや通信速度、通信エリアといった通信品質の向上に欠かせない通信インフラ設備の増強。工事の施行を通じて通信品質を裏から支えているのが通信建設業者(通建業者)だ。通建業者が手掛ける業務は、携帯基地局工事にとどまらず、光ファイバー設備、企業通信の社内外ネットワーク工事など、多様な広がりをみせている。

そこで今回は、国内通建業者の現状を取りまとめてみたい。

連結通信建設工事売上高(上位5社)
(出典:MCA「通信建設業者便覧 2014」)

通信事業者は通信建設工事に毎年多額の設備投資を行っているが、ARPUの下落や純増契約数の鈍化などから設備投資額自体は抑制的になっている。通信建設業界は通信事業者の設備投資動向に大きく左右される業界構造になっており、通信建設業者は通信事業者から恒常的なコスト削減を要求される状況にある。

こうした厳しい市場環境から、通信建設業界は従来のように通信建設のみを展開する以外に、施工方法の提案や要件定義、交渉、施工構築、調整試験、運用保守などの付加価値提案を要求されるようになってきた。また、IP化の進展と固定と移動体通信の融合(FMC)化は技術者の多能工(マルチスキル)化が求められるようになっている。

上記に加え、通信機器(無線機)市場が外資系ベンダーに席巻されている背景もあり、外資系ベンダーが機器納入とともに通信建設業も請け負うフルターンキーサービスの提供という実態もある。また、映像や電力系から通信建設業界に参入する企業も増えている。

通信建設業者の2013年度連結通信建設工事売上高をもとに主要プレーヤーを整理すると、協和エクシオ(2507億円)が第1位となり、コムシスホールディングス(2385億円)、ミライト・ホールディングス(1964億円)と3強が続いた。その他では、全国系のNECネッツエスアイ(NESIC)と地場系のNDSが651億円と同率第4位となっている。主要3グループとNESICを合わせた全国系通建業者の通信建設工事売上高は約7500億円の規模となる。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて11月21日に公開された記事となります。
最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。

モバイル業界スナップショット