KDDIの「LTE」方式選択の報道

 今日の一部報道で、KDDIが従来より展開しているCDMA2000のインフラから、次世代方式ではW-CDMA陣営のLTEへと切り替える方針との情報が流れた。

 これは以前より複数の関係者から聞かれていたことでもあり、事実がどうかは別にして、仮にLTEへと切り替えたとしても驚きに値しない。むしろ、以前のコラムでも書かせていただいた通り、今後の競争環境、制度上の観点から考えれば、十分に有り得る選択肢だからだ。

 折りしも、昨日弊社では「モバイルキャリアの戦略分析<KDDI編>」を発刊させたいただいたが、同社の今の状況を一言で表せば、端境期を迎えているという印象を持っている。

 具体的には、今回報道されたのようなインフラもそうだが、収益モデル、プラットフォームなどあらゆる面において、新たな通信キャリア像へ向かう「リ・スタート」の時期という意味だ。

 いち早く3Gサービスを開始し、データ通信料金を定額化。そのネットワーク上で着うた、着うたフルといったキラーコンテンツ、斬新なデザイン端末など、コンテンツ、プラットフォーム、端末レイヤーをバランスよくハンドリングすることで、先進的なブランドイメージをリードしてきた。それが、3G時代においてドコモと伍して戦えたKDDIの『強さ』の源泉だった。

 しかし、その一方でクアルコムを中心とした効率的なフラミンゴ打法は、世界的なW-CDMA陣営の拡大と、CDMA陣営のマイノリティ化という市場構図のなかでは、いつでも梯子が外れてしまう(=折れてしまう)という危険性をあわせ持っている。 特に今となっては、それだけに寄るのはリスクが大きい。

 KDDIがいずれの方式を選択するのか注目されるが、その如何に関わらず、今後の世界の通信方式の流れには大きな影響は及ぼすことはないだろう。しかし、国内の市場にとっては、非常に大きなターニングポイントとなることは間違いない。