Column:

携帯キャリアの次の"姿"考察

スマートフォン時代を迎え、これまで強弱の違いこそあれガチガチの垂直統合モデルで突き進んできた携帯キャリアのビジネスモデルが、次の『姿』を模索しているように見える。

 それを一言で表すなら「オープン型の垂直統合モデル」だろうか。

 そもそも日本の携帯キャリアは、通信インフラだけでなく、端末、サービス、プラットフォーム、そして流通を自ら一気通貫で手がけることで、独自の進化を遂げてきた。

 そうした生態系は、通信サービスと端末レイヤーが分離されていることの多い海外のケースと比較すると非常にユニークで、ガラパゴスと揶揄され、技術力がありながら海外市場で失敗続きの国内端末ベンダーの元凶ともされてきた。

 しかし、こと携帯キャリアというアングルから見る限り、世界的にも最も成功した収益モデルだったのではないかと思う。このカタチが携帯スタート時から導入されたことで、端末代をイセンティブで負担することが可能となり、利用者のイニシャルコストを軽減され、結果、加入者が一気に拡大していった。そして、端末とサービスを一体化して提供することでARPUの最大化を図ることが可能となった。

 通信サービスと端末が分離されていたら、こうはいかない。

 もっとも、これが深く、そして長く続いてきたことが海外からの国内携帯市場への参入を阻む防波堤となってきたことも事実である。

 時代は変わり、市場の成熟化が加速するなか、MNPの導入や端末と回線の分離販売、スマートフォンの台頭など、新たに市場環境を変化させる大波が次々と携帯キャリアの垂直統合モデルに襲いかかり揺さぶりをかけている。

 KDDIとサンシャイン牧場との提携やドコモのツイッターのダイレクトメールなどの到着をiコンシェルで通知するtwiコンシェルやスマートフォン向けにiモードメールのやり取りができるSPモードなど、プラットフォームを自らグリップしながら必要に応じてAPIを外部から叩ける機能を開放し、利便性を高めていくというやり方は、まさに携帯キャリアの次の姿を予感させる。