主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2015 (3):

<携帯電話基地局編>スモールセルへのシフトが投資に与える影響、供給ベンダの状況を整理

高速化やエリアの競争が続くモバイル市場だが、つながりやすさを左右する携帯電話基地局に対する投資の現状はどのようになっているのだろうか。シリーズでお送りしている「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場」の3回目は、携帯電話基地局市場の動きを取り上げたい。

本記事の詳細は「主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2015年度版」をあわせてご参照ください。


これまで3,000億円規模で推移してきた携帯電話基地局市場であるが、2013年度に2,487億円、2014年度には2,240億円と落ち込んだ。今後、さらに縮小し、2018年度は2,180億円が見込まれている。

背景には、基地局展開の主流が従来のマクロセルからスモールセルへとシフトする点があげられる。今後、数多くのスモールセル設置が進められる見込みであるが、スモールセルは基地局建設コストが著しく低下する。そのため、スモールセル時代が本格化しても、市場規模はマクロセル建設がピークであった2012年度のレベルに回復する見込みはないと予想される。

図:ネットワーク機器への投資額推移と予測(2007~2018 年度、単位:億円、モバイル系(基地局))

すでに基地局市場は3GからLTEへ完全に移行しており、現在はLTEからLTE-Advancedへ移行している。特にNTTドコモは2015年3月から下り最大225Mbpsの「PREMIUM 4G」の提供を開始させ、現在もLTEサービスの高速化競争に余念がない。

国内キャリアへの供給ベンダに関しては、ノキアソリューションズ&ネットワークスやエリクソン・ジャパン、サムスン電子ジャパンなどの海外ベンダに勢いがある。ただ、富士通やNECといった国内ベンダもNTTドコモへの堅調な供給に伴い、国内市場では引き続き、上位に位置している。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて9月25日に公開された記事となります。
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特集:主要キャリアのネットワーク投資戦略と通信インフラ市場2015
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