携帯キャリア、サブブランド、格安スマホが入り乱れ:

2017年春商戦、学割キャンペーン「対象者」から見る各社の事情

携帯キャリア各社から、若年層を対象とした割引施策、いわゆる学割キャンペーンが発表された。各社のプランを取りまとめるとともに、対象者や各種条件から透けて見える各社の事情にも迫ってみたい。

NTTドコモ

NTTドコモは「ドコモの学割」と「U25応援割」の2つのキャンペーンを展開している。いずれも適用対象を25歳まで広く取っている。NTTドコモの場合、既存顧客についても新料金プランに加入した場合は割引適用の対象としている点が特徴だ。従来型携帯電話(ガラケー)や旧プランを利用する若年層の巻き取りにも力を入れている。

また、シェアプランの子回線にも適用可能であり、既にシェアプランを利用している家族が追加で学割対象回線を増やすケースでは、追加負担があまりかからずに契約できる点が利点といえる。

(*1)カケホーダイプラン、カケホーダイライトプランに新規加入の場合に適用
KDDI

KDDIは18歳以下が対象の「学割天国U18」、25歳以下が対象の「学割天国U25」の2つのキャンペーンを展開している。

「学割天国U18」は、1回5分までの国内通話が定額料に含まれる「スーパーカケホ」と、利用データ容量に応じて段階的に利用料が上がる「U18データ定額20」を組み合わせたプラン。ここまでだと月額料金からの割引額は100円~810円だが、家族が同時に新規契約した場合、さらに月々1000円の割引がプラスされる。家族まるごとの乗り換えを強く意識したプランといえる。

また、指定の固定回線とのセット割「auスマートバリュー」は、通常であれば当初2年間だけ割引額が増額し、3年目からは減額となるが、「学割天国U18」適用期間中は割引額が固定されている。

同社は、格安スマホを意識し「月々2980円から利用」できる点が強調しているが、この価格にするためには(1)18歳以下の利用者が新規加入し、(2)その家族も新規加入し、(3)auスマートバリューも適用させる必要があり、かなり高いハードルが課せられている。

一方の「学割天国U25」は、指定のプランを契約することで、26歳の誕生月まで毎月500円の割引が継続されるキャンペーンとなる。20GBまたは30GBの大容量プランへの加入が条件のため、機種変更でも適用可能だ。

(*2)3~4GBの割引額は通常5GBプランとの差額(通常プランで4GBがないため)
(*3)機種購入を伴う機種変更時にデータ定額20/30に加入した場合に適用
ソフトバンク

ソフトバンクは当初、月額利用料を1年間1000円割り引く「学割モンスター」を学割プランとして昨年12月に発表していた。しかし、KDDIの学割プランに対抗して「学割モンスターU18」「学割モンスターU25」の2つのキャンペーンに改編している。

対抗策だけあり「学割モンスターU18」のプランはKDDIの「学割天国U18」と同じ仕組みを採用している。通常プランの料金体系が異なるため割引額が大きく見えるが、割引後の価格はKDDIの価格と(5GB超の場合を除き)同額となっている。新規またはMNPに適用者を限定しており、顧客の新規獲得に重点が置かれている。

「学割モンスターU25」は、ソフトバンクの場合は月々1000円の割引を12回提供する方式となっている。KDDIは月々の割引額は500円だが、26歳の誕生月を迎えるまで継続適用される。

(*4)スマ放題ライトの場合。3GB以下、3~4GBの割引額は通常5GBプランとの差額(通常プランで3GB/4GBがないため)
(*5)データ定額20GB/30GBに新規加入の場合に適用
サブブランド(ワイモバイル、UQ mobile)

ワイモバイル、UQ mobileともに、契約から1年間は「1980円」から利用できることをウリにしている。学割プランも2社共通で、この「1980円」で利用できる期間を倍の2年間に延長させるものとなっている。

ワイモバイルは既存顧客も対象とすることで、PHS顧客の巻き取りにも目配せをしているといえる。一方でソフトバンクからのMNPでは割引対象外としており、自社内での交通整理をはかっている。

一方のUQ mobileは新規顧客に対象を限定するかわりに、auからのMNPであっても割引対象に含めている。auから他社へ流出するぐらいなら、自社サブブランドのUQ mobileにとどめておきたい、そんな思惑が透けて見える。

(*6)スマホプランS/M/Lに新規加入の場合に適用
格安スマホ
楽天 執行役員 大尾嘉 宏人氏

ここまで各社の学割プランを整理してきたが、最後に格安スマホに関しても触れてみたい。特徴的なのは楽天モバイルだ。新規で5GB以上の通話SIMに契約し「楽天でんわ5分かけ放題 by 楽天モバイル」オプションに加入すれば、2回線目以降が無料または割引となるキャンペーンを2月15日より開始している。

キャンペーンの発表会に登壇した楽天 執行役員 大尾嘉 宏人氏は「楽天グループでは学割に取り組んでいて、それはそれで良いと思う。ただ、春は学生や若い方だけに訪れる訳ではない。年齢制限はなくてもいいのではないか」と、今回のキャンペーンであえて年齢制限をかけなかった理由を述べた。

2回線目は1回線目と別名義でも割引が適用されるため、親と子、夫婦、さらには友人であっても割引が適用される(逆に、同一名義で複数台利用する場合も対象)。学割の枠を超え、紹介キャンペーンとしても機能しそうだ。

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