ビジネスチャット各社に聞く:

約3000社が導入する「WowTalk」、サービス面での3つの強みとは

諸外国に比べて低いとされる生産性、労働力人口の減少など、我が国が抱える課題への対策として叫ばれている「働き方改革」。働き方改革をコミュニケーションの側面からサポートする役割を担っているのがビジネスチャットだ。

そこで今回から、ビジネスチャットを提供する各社にインタビューし、サービス提供に至った背景、提供している機能、さらに今後の展開などを伺っていきたい。

第1回となる今回は、「WowTalk(ワウトーク)」を展開するワウテック株式会社 代表取締役社長の瀬沼 悠氏にお話を伺った。

東日本大震災を契機に、新たな企業向けコミュニケーションツールの必要性を痛感
――はじめに「WowTalk」を開始するに至った経緯をお聞かせください。
ワウテック株式会社 代表取締役社長 瀬沼 悠氏
瀬沼氏:
ビジネスチャット・社内SNSの「WowTalk」は、弊社の主要株主であるキングソフト株式会社との提携のもと、2014年3月にリリースしました。提供を決めたきっかけの1つは、2011年3月の東日本大震災でした。

東日本大震災が発生した際、私はキングソフトに在籍していました。震災直後は電話がつながらず社員間の連絡に非常に苦労したことを今でも覚えています。TwitterやFacebookなどを活用しましたが、やはり限界がありました。ちょうどその頃、チャットサービスのベースを開発していたワウテック株式会社より、販売展開について相談を受けました。

当時はスマートフォンの普及で個人間の連絡手段がメールからチャットサービスにシフトしたタイミングでもありました。そこで、法人向けにも、従来の電話やメールにかわる新たなコミュニケーションツールを提供したいとの想いを強くし、"法人利用に特化した企業向けのコミュニケーションツールとして提供できるのではないか"と考え、市場調査・開発に着手し始めました。

当初、両社は業務提携という形を取っていて、仕様策定をキングソフト側が、開発をワウテック側が行っていました。その後、2014年7月にキングソフトがワウテックを買収して企画から開発まで一気通貫で行える体制を整えました。

おかげさまでリリース直後から急速に導入社数を伸ばすことができました。そこで、キングソフトの一部門ではなく、独立してさらなる成長を目指すべく、2017年4月から、ワウテック株式会社として事業展開をスタートさせ現在に至っています。私がワウテックの代表取締役社長に就任したのも2017年4月からになります。

機能をフルラインナップで揃えている点が特徴、「WowTalk」の3つの強みとは
――「WowTalk」のサービス内容を教えて頂けますか。
瀬沼氏:
「WowTalk」のサービスとしては、チャットやグループチャットなどの「トーク」、情報共有を主とした「掲示板」、さらに「タスク管理」や「無料通話」の機能を提供しています。無料通話は、音声とビデオが利用できます。うち、音声は複数通話にも対応しています。

どこからどこまでをビジネスチャットと位置付けるのかは、提供している我々にとっても線引きが難しいのですが、ここまで機能を揃えたビジネスチャットはそれほど多くないと自負しています。

掲示板はこのアプリ、音声は別のアプリ、といった使い分けを迫られることなく、「WowTalk」で一括して利用できる点は、ユーザーにも評価いただいています。

――サービスを開始された時から、フルラインナップだったのですか。
瀬沼氏:
いいえ、開始当初はチャットと掲示板に特化したサービスでした。
――ということは、ユーザーからのリクエストを受けての機能追加でしょうか。
瀬沼氏:
そうですね、様々なご要望をいただいたのも確かです。あとは弊社としても、テレワークや働き方改革を推進するためのツールにして欲しいというコンセプトを持っていて、そのために必要な機能を拡充させていった面もあります。
――「WowTalk」の強みはどのようなところにありますか。
瀬沼氏:
大きく3つ挙げられます。

まずは直感的に使える操作性、つまり使いやすさです。「WowTalk」導入企業の中にはガラケーをスマホに切り替えたばかりの会社さんもありました。その場合、スマホの操作に慣れていない方にも使っていただく必要があります。そこで、機能の配置には特に気を配り、誰もが直感で簡単に使えるようにしました。

2点目は、細かな部分までカスタマイズ可能な点です。各社が策定したセキュリティポリシーに沿うようカスタマイズしたいとのご要望が非常に多く、当初はそれぞれに個別対応しOEMのようなサービス提供をしていました。ただ、導入企業から様々な要望を頂戴する中で「各ユーザーが独自の文化に合うようにカスタマイズできるようにしたほうのが希望に添えるのでは」と考え、結果的に細かい機能をオン/オフで切り替えられる仕様にしました。現在、その対象項目は約40にのぼります。

――具体的に、どういったことができるのですか。
瀬沼氏:
カスタマイズの中心は機能制限になります。「WowTalk」が提供する様々な機能、例えばトークであれば、オリジナルスタンプ、画像添付、ファイル添付などを個別に制限することができます。

また、そもそも機能自体を止めることもできます。掲示板は使わない、といった運用も可能です。これらを管理者が画面上で簡単に切り替えられるようになっています。

特にセキュリティポリシーが非常にしっかりされている企業から、支持を受けています。

――3つ目の強みは何ですか。
瀬沼氏:
パーテーション機能になります。

これは、それぞれのユーザーに対し、連絡を取れる相手や使える機能を定義する機能です。例えば、社長にメッセージを送れるのは部長職以上に限定する、といったことが可能です。

あとは、支店や店舗で切り分けることもできますし、建設業界ですと現場ごとで区切ることも可能です。使い方は様々あります。

――業務で使うコミュニケーションツールは、いざという時でも使えることが重要だと思います。御社の対策を教えてください。
瀬沼氏:
SLAは99.9%を保証しています。これは契約時の規約の中にもしっかりと書かせていただいおります。昨年も今年も、そのレベルをクリアしています。

実は今後99.99%までもっていこうと検討しているぐらい、私たちの中でコミュニケーションインフラは絶対的なものと位置付けています。他社もされているとは思いますが、システムを止めないためのバックアップなどの対策も常に行っています。

導入企業は約3000社、今後は他社サービスとのさらなる連携を目指す
――実際、どのような企業が導入されているのでしょうか。
瀬沼氏:
おかげさまで、約3000社に導入いただいています。当初、業種によって導入にバラツキが出ると思っていましたが、広く採用いただいており、特定の業種に偏ることもありません。

従業員規模も、中小から大手まで本当に幅広いですね。弊社ウェブサイトの導入事例として最近公開を開始した清水建設株式会社様のケースでは、当初は1000名程度に限定導入されていましたが、2017年に全社に拡大いただいたことで、現在は約2万名にご利用いただいております。

――最後に、今後の展開についてお聞かせ下さい。
瀬沼氏:
引き続き、ビジネスチャットとしての機能の追加や洗練化を進めていきます。ただ私たちは、グループウェアを目指しているわけではありません。

あくまで企業内でのコミュニケーションを根本から変えていくことが目的です。働き方改革や在宅勤務、テレワークに従事している方が、より働きやすいようになるような機能の追加を目指しています。

その上で、他社が展開されているサービスとの連携も広げていきたいと考えています。「G Suite」や勤怠システムなどと連携していますが、この連携が様々な分野に繋がることで、さらにビジネスチャット活用の柔軟性、快適さを体感してもらえるはずですし、弊社の強みにもなっていくと考えています。

――本日はありがとうございました。
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