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総務省四半期データから見えてくる、堅調なMVNO契約数

総務省は2020年3月末時点における「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」(以下、総務省データ)を6月29日に公表した。今回はこのデータから、MVNOの契約数動向を整理したい。

MVNOのシェアは13.2%まで上昇

3月末時点での移動系通信の契約数は1億8661万で、2019年12月末時点から180万の増加となった。また、MVNOサービスの契約数は2465万で、全体に占めるMVNOの割合は13.2%となった。

(出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」)

総務省データでは、携帯キャリア(図では「MNO」)とMVNO、それぞれの増減数をグラフで示しており、1~3月期は携帯キャリアが103万増、MVNOが77万増であった。ここのところ携帯キャリアの純増数はMVNOを下回っていたが、3四半期ぶりに入れ替わっている。

通信モジュールを除いた契約では流出が続く携帯キャリア

一歩踏み込んで、スマートフォンやタブレットなどを中心とした契約獲得状況を明らかにすべく、機器等に組み込まれる通信モジュールの契約数動向を除外してみたところ、携帯キャリアからの顧客流出が鮮明となった。1~3月期、携帯キャリアは22万の減少に見舞われたのに対し、MVNOは65万増と安定的に増加している。

総務省データでも、MVNOの「SIMカード型」契約数比率(携帯キャリアの通信モジュール契約数を除いた数字に占める割合)が10.1%と、はじめて10%の大台に乗せている。

ただし、今後のMVNO契約数動向には、契約数シェアが17.9%でトップとなっている楽天モバイルの動きが大きく影響を与えそうだ。実は、総務省データでは、楽天モバイルのMVNO契約は回線元であるNTTドコモ・KDDIのMVNOとして計上されているのだ。(楽天モバイルのMNO契約数及びUQ mobile契約数は携帯キャリア側に計上されている)。

今後、楽天モバイルのMVNO契約者が一斉に「Rakuten UN-LIMIT」プランに乗り換えるようなことがあれば、MVNO契約数の下押し圧力にもなろう。今後も本稿にて定点観測を続けていきたい。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて7月9日に公開された記事となります。
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総務省データからみる、モバイル市場とMVNO

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