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担当者に聞く、法人向けウェブサイト展開の今:KDDI編

携帯各社が今年に入り新たに導入した音声通話の定額制。法人にとっては、料金が固定になったことで予算化がしやすくなったこともあり、導入の追い風になるとみられる。

キャリア各社は法人市場、とりわけ中小法人攻略に向けて体制強化をはかっているが、実際に営業訪問すると費用対効果に課題が残る。そこで期待されるのがネットを活用した販促で、各社とも法人向けに専用サイトを展開し、導入事例を盛り込むなど個人向けとは異なる取り組みを行っている。

そこで、キャリア各社の法人向けウェブサイト担当者にご登場いただき、ウェブ展開の現状を取り上げていきたい。

第1回目となる今回は、KDDI ソリューション事業企画本部 理事 副本部長兼ソリューションマーケティング部長 窪田靖氏、同部グループリーダー 山下和氏にお話を伺った。

KDDI 窪田氏 KDDI 山下氏
――はじめに、KDDIの法人向けウェブサイトの概要を教えて下さい。
山下氏
KDDIのウェブサイトは、個人のお客さま向けの「auサイト」、企業情報を発信するコーポレートサイト、そして法人向けのウェブサイトに大きく分かれています。

法人向けウェブサイトは http://www.kddi.com/business/ がトップページとなります。auサイトは http://www.au.kddi.com/ 、コーポレートサイトは http://www.kddi.com/corporate/ というように、法人向けウェブサイトも含めいずれのサイトも kddi.com ドメインの中で展開されています。

我々は法人向けウェブサイトを担当しています。サイト全体のポリシーは宣伝部が策定していますので、法人向けウェブサイトもそのポリシーに基づき運営しています。直近では、2014年3月に全面リニューアルを行いました。

――リニューアルの際にどのようなことに重点を置かれましたか。
山下氏
やはり「お客さまにとって、今まで以上に見やすいサイト」を目指しました。

商品やサービスの名称を知っていればキーワード検索で探すこともできますが、お客さまは必ずしも名前をご存じではないと思います。「モバイル」「グローバル」などの大分類と、その中で「サービス」「製品」といったカテゴリー分けをし、お客さまのニーズに応じて弊社のプロダクトが探せるようなかたちにしました。アイコンは大型のものを採用しています。

リニューアルはauサイトで先行導入されたのですが、その結果ユーザビリティの向上がはかられたことで、全社的な取り組みへと拡大しました。法人向けウェブサイトのリニューアル時には、KDDIのトップページ、コーポレートサイトも同時に刷新しています。

また、CMSを入れ替えてレスポンシブデザインを採用していますから、パソコンからだけでなく、タブレットやスマートフォンなど個々のデバイスに最適化した画面が表示できるようになっています。

――法人向けウェブサイトでは、タブレットやスマートフォンからのアクセスも多いのでしょうか。
山下氏
やはり現在はパソコンからのアクセスが多いですね。法人向けの場合、どうしても勤務時間中に会社のパソコンからアクセスされるケースが中心になっていますので。
――法人向けとして、特に意識されていることはありますか。
山下氏
お客さまとの接点は「店頭」「営業担当の訪問」「電話でのお問い合わせ」といくつもありますが、それでも機会は限られています。

そこで、サービスの良さ、具体的な内容、導入事例をはじめとした情報を常設で提供し、お客さまが探したいと思い立った際にいつでも参照できるようにすることが法人向けウェブサイトにまず求められているのではないかと考えています。

情報提供と並行して、お問い合わせの受付、販売も行っています。問い合わせ方法は電話とウェブフォームの両方を用意し、ご希望にあわせてお選びいただける体制を整えています。

――状況に応じて、問い合わせ方法の使い分けが可能ですね。
山下氏
そうですね。販売についても、店舗や営業担当の訪問による対面での手続きとは別に、ウェブサイトでのお申込を希望される声がありますので、端末購入サイト「KDDIビジネスオンラインサポート」にて受付を行っています。
窪田氏
ただし、法人契約の場合はまだまだ対面での販売が中心になっています。提出書類のオンライン受付を可能にし手続きの簡略化をはかってはいますが、どうしても個人での購入に比べて煩雑になってしまうのが実情です。
――法人向けウェブサイトのトップページには「全てのサービス」と「中小企業・SOHOのお客さま向けサービス」の2つのカテゴリーが用意されていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
山下氏
全く異なる別々のコンテンツを用意しているわけではありません。「中小企業・SOHOのお客さま向けサービス」では、例えば大企業向けに提供している大規模サービスなど、関連性が薄いものを省き、よく利用されている商品やサービスを中心にセレクトしています。
――運営するなかで重視している点はどこですか。
窪田氏
全面リニューアルの重点項目としてさきほども挙げましたが、やはりユーザビリティ評価を重視しています。日々の運営の中で、ページビューをはじめとした一般的な数値の把握は行いつつ、やはりアクセスいただいたお客さまに、より見やすく、使いやすく、探しやすいサイト作りを絶えず念頭に置いています。
――SNSの活用はいかがでしょうか。
窪田氏
コンシューマー向けとは異なり、法人向けではそれほど重要ではないのではないかと考えており、現時点では注力していません。

メールマガジンについては、同じ部署内の別グループが担当して配信を行っています。定期的な配信と、新しい商品・サービスが出たタイミングでの配信を併用しています。

――法人向けウェブサイトのトップページに掲載されている、毛筆による「クラウドは、通信だ。」というキャッチフレーズが非常にインパクトがあります。
窪田氏
書家の中塚翠涛氏にお願いいたしました。印象に残るもの、ということでクリエイターやマーケターの皆さんに提案してもらった企画の中から採用しました。
――本日はありがとうございました。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2014年12月19日に公開された記事となります。
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