携帯基地局市場と設備投資の実態 2019(2):

「5G」と「楽天モバイル」、今後の基地局数と投資の見通しは

MCAの市場調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2019年版」から、携帯基地局市場の動向を取り上げる集中企画。2回目となる今回は、「5G」と「楽天モバイル」の2点に焦点を当ててみたい。

2022年度に5G基地局数は70,000局へ、5G投資額も2500億円強に

大手3社は2019年度中に5Gプレサービスを提供するため、100局程度の5G基地局を設置する見込みだ。今回の調査は屋外を対象としているため、スタジアム向けなど屋内展開がメインになるNTTドコモは19年度の数字には含まれず、対象はKDDI(au)とソフトバンクとなる。

初年度の2019年度は静かな動きだが、2020年度は本格的な商用化で一気に基地局数が拡大し、約15,000局になるものとみている。NTTドコモの5G開設計画はミニマムなものとの位置付けであり、実際は国内トップの5G基地局数となる見込み。また、2022年度には国内4社合わせ、累積70,000局の5G基地局が設置されるものと推定される。

基地局数の増加にともない、国内4社における5G投資額は2022年度には2,550億円に達する見込みで、設備投資額全体の15%強を占める。

なお、本市場調査レポートは2022年度までの予測となっているが、国内4社の5G開設計画では2023年度が5G展開のピークとなっている。そのため、5G投資も増加が見込まれるものの、国内4社の投資総額が大幅に拡大される訳ではないため、4G投資が5G向けに転嫁されるものと分析している。

「3,432局」という数字が独り歩きする楽天モバイル

楽天モバイルの基地局数については、総務省へ申請した屋外基地局開設数の「3,432局」が独り歩きしている状況だ。ただし、あくまでこの数字は2019年度末(2020年3月)までの基地局数であり、10月の段階では幾分差し引く必要があるだろう。

2019年8月時点で、基地局設置済みが約800局、稼働可能は約300局とされ、商用化までに光ファイバ網の接続が進んだとしても、1,000局程度のスタートになる可能性がある。

商用化後も地道に基地局展開を進め、3,432局を超える基地局数を目指すものの、険しい道のりが想定される。思い返せば、イー・モバイル(現ソフトバンクに吸収)も当時、総務省に基地局開設計画の変更を申請し、下方修正を行いました。そのため、楽天モバイルも同様のケースがあり得るだろう。

楽天モバイル、2022年度に5G投資がLTEを逆転

楽天モバイルの投資額は、2019年度は1.7GHz帯のみの展開で650億円と小規模だが、2021年度からは5G投資も本格化し、2022年度には1,450億円にまで投資が拡大する見込み。

5G展開の本格化に伴い、他キャリアよりも、いち早く2022年度にはLTE投資を逆転する可能性が高い。なお、本市場調査ポートにおける5G投資予測は、開設計画から推定される基地局数を基に予測を行った。そのため、基地局数が下方修正される場合、5G投資も下回ることがある。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて9月30日に公開された記事となります。
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特集:携帯基地局市場と設備投資の実態 2019
  1. 携帯キャリアの設備投資、2022年度には1兆5000億円に拡大へ
  2. 「5G」と「楽天モバイル」、今後の基地局数と投資の見通しは
  3. 携帯基地局市場、国内ベンダを尻目にアジア勢の拡大が続く
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