ソフトバンクが2014年度決算を発表:

日本のソフトバンクから世界のソフトバンクへ、ネット投資事業の積極化を表明

ソフトバンクが5月11日発表した2014年度決算によると、売上高はブライトスター、スーパーセル、スプリントの売上高が増加したこと等を背景に前期比30.1%増の8兆6702億円となった。

営業利益は、前期にガンホーおよびウィルコムの子会社化にともなう一時利益がなくなったことから、8.8%減の9827億円だった。同社では、一時利益を除けば19%の増加であったとした。

日本のソフトバンクから世界のソフトバンクへ
元グーグルのアローラ氏を"President"に任命し海外展開加速

決算発表会で孫正義代表取締役社長は「『日本のソフトバンクが海外事業も展開』してきたが、今年は『世界のソフトバンクが日本でも事業を展開』する、そのトランジションの年となる」と語り、グローバル展開を加速する意向を示した。

グローバル展開で中核を担うのが純粋持株会社であるソフトバンク株式会社だ。7月には社名を「ソフトバンクグループ株式会社」へと変更し、ニケシュ・アローラ氏が代表取締役副社長に就任することもあわせて発表された。

ニケシュ・アローラ氏は昨年9月に米Googleからソフトバンクのバイスチェアマンへと移籍したばかりだが、孫氏は「世界最大のインターネット企業を実質的に切り盛りしており、知識や人脈は私を上回っている。また人格も尊敬に値し、一緒に仕事をしていて刺激も受け、とても楽しい。朝晩は欠かさず電話をしないと落ち着かないほど、ちょっと不思議な関係」と語り、両者の関係性の強さをアピールした。

新会社におけるアローラ氏の英文での肩書きは「President & COO」。創業間もないころに肝臓の病で入院した際、一時的に会長という立場になったものの、実質的には現在まで一度も「President」職を外さなかった孫氏がはじめて職を譲ることとなる。

記者からの「事実上の後継指名か」との問いに「答えはYES。事実上初めてPresidentを与えたことにはそれなりの意味がある。もちろん引退するつもりはないし、(自分は)若いつもりでいるので今後も経営の最前線でやっていく」と語った。なお、7月以降、孫氏の肩書きは「Chairman & CEO」となる。

通信事業からインターネット事業へシフト
国内通信事業は「ゼロサムゲーム」

同社は通信事業とインターネット事業の2つが主力となっているが、事業の軸足をインターネット事業へシフトさせることも明らかにした。

インターネット事業では既に中国やインドなど海外で投資を積極的に行う同社だが、孫氏は「私の趣味として全体の数パーセント程度しか割いていなかった。今後は投資をもう一度加速させる」と語った。既にアローラ氏が有能な人材のリクルーティングを進めており、グローバル戦略の経営幹部を続々と増やしていく意向を示した。

インターネット事業へのシフトで、通信事業はどうなるのだろうか。

米Sprintについて孫氏は「マルセロ氏が立て直しの方向性を付けてきている」「次世代ネットワーク構築について、ソフトバンクとSprintのネットワークエンジニアと一緒に自ら議論し、品質改善の道筋が見えてきた」「(第3四半期決算の発表時は)今後どれぐらい借入金を増やすのか、いつキャッシュフローや利益の面で反転できるのか、私自身確信をもてない不安な部分があった。しかし今は自分なりに方向が見えた、腹の中の自信がついた」と語った。

一方、現在ソフトバンクモバイルが中心となって展開する国内の通信事業は、社名を「ソフトバンク株式会社」へと変更し、代表取締役社長には宮内謙氏が就任する予定。運営方針のキーワードは「経営効率化」だ。

国内通信会社の2014年度の設備投資額は5355億円と、前期比で25%程度圧縮している。「(通信品質向上に向け)一時的に積極的に設備投資を積み増したが、通信品質No.1を達成できたので本来のレベルまで下げる」とし、2015年度、2016年度はさらに3割弱削減し3900億円程度まで抑えると予想している。

また「各社が激しい競争を行っているので、手は抜かず真剣に勝負をしていく」ものの「国内市場はゼロサムゲームになっていてどこも一緒。今は効率的なマネージメントをしてフリーキャッシュフローを生み出していくステージ」だとも語った。

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