携帯3社の決算比較から透ける各社の事情(1):

KDDI、収益拡大の裏に垣間見える法人事業の不振

携帯3社の決算比較について、先日「ケータイWatch」の連載コーナーで書いたが、その中で伝えきれなかったことや感じたことを幾つかピックアップして述べたい。

1回目は、「KDDIの収益拡大の裏に垣間見える法人事業の不振」について取り上げたい。

1.IRデータから推測されるビジネス部門の不調

今回の決算のなかで、KDDIは純増数&ARPUとも順調な拡大を背景に、3キャリアのなかでは唯一『増収増益』を記録した。

残っている新規市場が年々枯渇するなか、成長を維持し続けるためには、他社から顧客を奪うMNP(Mobile Number Portability)戦略を強化する必要があるのだが、それは何重にも顧客を縛っている鎖を解かなければならないことを意味しており、非常に骨が折れる。

しかし、KDDIは固定回線と同時に加入すれば、携帯回線費用を毎月割り引く「auスマートバリュー」などの効果により、MNP市場で圧倒的なポジションを築いている。

今回の決算では、この1年間で獲得した純増数は296万とNTTドコモの349万より少ないが、これはNTTドコモの純増数の多くは、ARPUが低いMVNOや通信モジュール契約が占めるためである。つまり、ARPU増加に寄与する'真水'としての純増数では、KDDIがリードしている。

以上の点から、KDDIの決算データはピカピカの内容となっているのだが、そうしたなか気になるのが「ビジネス部門」の不調である。

2.2014年度の予測値と実績値の乖離/2015年度は更なる厳しい戦いを覚悟

同社の決算資料によれば、2014年度末のKDDIのビジネス部門における営業収益は前年同期比9.8%減の6692億円、営業利益は同7%減の817億円となっている。営業利益率はKDDI全体が16.2%なのに対し、12%となっており、前年度より0.8%減となっているのだ。

特に2013年度下半期より、それまで16%程度あった営業利益率の減少傾向が顕著で、2013年度Q4期には7.6%まで落ち込んでいる。

何故、ビジネス部門が鈍化しているのか。その最も大きな要因は、法人市場で急速に広まっている相対契約の存在にある。これは、携帯各社が法人向けには個人で提供しているような料金パッケージだけでなく、法人顧客の規模や他社との競争状況などに応じて料金プランを個別に設計し、提案する契約形態のことである。

個人市場の成熟化に伴い、法人市場が新たな市場として注目され、携帯各社は法人顧客開拓に注力しているのだが、実際にはレッドオーシャン化(=焦土化)が著しく、なかなか収益を確保できない状況が各社共通の悩みとなっている。

そして、もう一つ不思議というかKDDIらしくないIRデータが、非パーソナル部門における数字読み違いである。同社は、四半期ベースでKDDI全体とパーソナル部門の純増見込みを公開している。このKDDI全体からパーソナル部門の数字を差し引けば、非パーソナル部門の数値となる訳だが、これが2014年度末の数値について、Q3期(見込み値)とQ4期(実績)では35万契約のマイナスとなっているのだ。

つまり、同社はQ3期時点で2014年度末の数値をQ4期より35万多く計上していたことになる。これが、ビジネス部門の減収減益の要因になったという見方もできるが、上ブレが高い精度で予測値に着地するKDDIらしからぬスコアだ。

数十万の大型案件を失注したのか、それとも・・・。

いずれにしても、ビジネス部門の立て直しが課題となりそうだが、同社では2015年度のビジネス部門について、引き続き『減収減益』を見込み、営業利益率は8.6%と更なる一段の悪化を予想している。

特集:携帯3社の決算比較から透ける各社の事情
  1. KDDI、収益拡大の裏に垣間見える法人事業の不振
  2. SB、『数』から決別し新たな姿を模索
2014年度 各社決算発表