SIMフリースマホの選び方から通信品質・MVNO施策まで幅広い内容の講演に(6)

「APN設定でテザリングできない点はどう見るか?」など、MVNO関連の質問に総務省 富岡氏が回答
イベントでは、トークセッションに続いて質疑応答も行われた。本稿の最後に、寄せられた質問内容と、質問に対する登壇者の回答をお伝えする。なお「富岡氏」との記載がない場合はIIJmio登壇者からの回答となる。またトークセッションの合間に行われた質疑応答についてもあわせて取り上げている。

イベントで用いられた資料はIIJmio「てくろぐ」内も公開されており、そちらもあわせて参照いただきたい。

質疑応答では、質問内容によって総務省 富岡氏またはIIJ登壇者のいずれか(または両方)が回答する形式となった。まずは、富岡氏が回答した質問についてまとめてみた。

――フィルタリングについてのスタンスは。
富岡氏:
フィルタリング含めて、消費者保護の観点からMVNOはしっかりと対策をしていないのではないかという声があることは承知している。MNOと同様の携帯事業者として競争するのであれば、フィルタリングやそれ以外の部分も含めて同様の取り組みをするのが必要ではないかと考えている。
――MNOには設備の貸し出し義務があるが、今の制度はMNOにある程度の利益が出るものなのか。
富岡氏:
MNOが設定する接続料は原価に適正な利潤をのせた額になっているので、そんなに無理はいっていないつもりである。MVNOに貸し出す量がふえることで赤字になるということでもないし、逆にMVNOに貸すことでプラスになっていると思う。各社とも数千億単位で利益がでているので、すぐに急激に悪化するとは思えない。
――海外のSIMはいろいろな柄があってコレクションしているが、国内の格安SIMはデザインに個性がない。今後は改善されるのか。
富岡氏:
SIMはMNOのみが発行しており、かつ国内の格安SIMはほとんどMNOがNTTドコモのため同じ柄ばかりとなっている。MVNOがHLR/HSSを持って独自にSIMが発行できるようになれば改善される可能性はあるが、ハードルはそれほど低くない。 MNOはHLR/HSSのアンバンドルに相当警戒しており、MNOとMVNOによる協議は一筋縄ではいかないと考えている。
――総務省はなぜMVNOを推進するのか。そのお考えは。
富岡氏:
最も大きいのは携帯電話料金を安くすること。また、MVNOにはMVNOと同じ土俵でなく、IoTやM2Mなど、MNOが喜んで手を出さないようなところを小回りを利かせてやっていただきたい思いもある。
――NTTドコモ端末は、APN設定の問題で格安SIMをさした場合にテザリングできない場合があるが、今後は解消されるのか。
富岡氏:
ガイドライン改正に至る議論の中で提起されており、問題意識は持っている。まずはMNOとMVNOの事業者間で話し合って欲しいと思っており、総務省がただちに何かをするフェーズではないと認識している。 にっちもさっちもいかなければ総務省としても対策を考えていきたい。
――SIMロック解除によって端末側のロックはなくなるが、指定端末以外の端末にSIMをさしてもネットワーク側で利用制限をかけるIMEI制限に関しての取り扱いはどうなるのか。
富岡氏:
議論の俎上にはのぼっていなかったと認識している。SIMロック解除制度の趣旨が骨抜きにならないかどうかはチェックし、追加的に対策をしていきたい。
――固定では回線とプロバイダーが分離されているが、携帯電話の世界でもそういったことは起きるのか。
富岡氏:
世界的には回線とISPはセットで提供されることが主流で、日本は例外的である。これは、NTT東西に課せられた業務範囲規制のためISPを提供できないことが要因。モバイルの世界にこの規制を適用することはない。
――通信サービスの品質に関して総務省で測定方法に関する研究会も設けられていたが、MVNOも対象になるのか。
富岡氏:
音声通話については、110番など緊急通報がつながらないといけないこともあり、ルールが作られておりしっかりと規律されている。 データ通信についてはベストエフォートで提供されているので、品質はそれほど重視していない。しかし、対ユーザとの関係で、スピードが出るとうたっているにもかかわらず出ない場合があり問題視している。 実効速度については、今はMNOに対象を限っているが、MVNOも含める必要があるのかは今後の課題。

IIJ佐々木氏:
総務省が「インターネット品質研究会(インターネットのサービス品質計測等の在り方に関する研究会)」で取りまとめた方式で調査をしようとすると、実際に全国に計測スタッフを派遣したりメッシュに則って測定したりと、MVNOの体力では無理。 また、MVNOの品質はMNOの品質とMVNOの品質の掛け算で決まるものであり、MVNOとしてはMVNO側の設備に関する品質を出すような方法が望ましいと考えている。
――訪日外国人が持ち込む海外製端末について、技適マークがなくても利用できる方向とのことだが、FCCがついていればよいという基準にはできないのか。
富岡氏:
現在予定している電波法の改正では、海外から一時的に持ち込まれる(技適マークのない)端末を国内で使えるようにする方向。

どのような端末を可能とするかは検討中。ご指摘の、FCC認証があればよいというのは1つのライン。
――解約違約金に関する総務省の見方は。
富岡氏:
総務省では今のところ解約違約金に対し直接の規制はしていない。あまりに高額になると問題になると思う。また、2年契約が自動更新される点については、更新月をプッシュ通知したり、解約できる期間を1ヶ月に限らず期間を広げてもらうべく、改善に向けて動いている。
――MNOが自らMVNOを提供することは問題ないのか。
富岡氏:
MNOとMVNOでターゲットを差別化することもあると思うので、マーケットの発展に寄与する方向であれば問題ないと考える。

[4/6 19:50] 一部修正を行いました。
IIJ主催イベント『IIJmio meeting』取材記事
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