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純増競争の異変に垣間見える携帯各社の『数』に対するスタンスの違い

1億5千万加入を突破した国内の携帯電話市場だが、携帯3社の純増競争に目を転じると、異変が起きていることに気付く。今回は、携帯3社の純増競争について取り上げたい。

出典:各携帯会社のIR情報

携帯3社の純増競争では、2013年くらいまではソフトバンクが毎月40%以上の純増を獲得し、トップを快走してきた。しかし2014年に入るとシェア下落が顕著となり、今年度上半期には40万の純減状態に陥っている。尚、上記グラフのなかで、同社の2014年6月に747.9%と跳ね上がっているが、これはワイモバイルの数値が合算された影響によるものである。

これに対して、元気なのがNTTドコモだ。一時は5%程度まで4半期の純増シェアが落ち込むこともあったが、2014年6月の「カケホーダイ&パケあえる」投入以降、急回復を見せている。ただし、同社の純増数の半分近くはMVNOが含まれている点には留意する必要がある。

動きの激しい2社に比較し、安定的な強さを見せているのがKDDIだ。固定と携帯のセット割引「スマートバリュー」を基盤に、MNP市場で優位に立っている。

ソフトバンクによれば、これまでのやみくもに数を追う姿勢を改め、スマホやタブレットといった収益の伴う回線へ注力していくということだが、TCA(一般社団法人 電気通信事業者協会)のデータでは北海道と首都圏以外のエリアで純減状態になっているなど、気になる点は他にもある。

「純増数増加=収益拡大」につながりにくくなっている市場の実態に対して、携帯各社の『数』への考え方も微妙に異なってきているようだ。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて12月4日に公開された記事となります。
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